「三井住友グループ」が総力を挙げる「Olive」とは？

　三井住友フィナンシャルグループ、三井住友銀行、三井住友カードの3社は2月3日、3月より個人向け総合金融サービス「Olive（オリーブ）」の提供開始を発表した。

　Oliveの特徴はいくつかあるが、最も大きなのは従来の銀行にあったリアルの支店窓口による取引ではなく、スマートフォンを使ったモバイルアプリ上で取引を完結させようという取り組みにある。

　処理の関係上、便宜的に支店を指定する必要はあるものの、Oliveの新規口座開設にあたって支店に赴く必要はなく、以後の処理も含めてすべてモバイル上で済む。ネット銀行に近い印象だが、三井住友銀行のATM利用や送金優遇に加え、同行が提供する各種サービスがそのまま利用できるため、既存銀行のデジタル化といった方が正しいのかもしれない。


　大きな特徴として、Visaのブランドを冠したカードでは世界初となる「フレキシブルペイ」の機能を搭載したキャッシュカードを用意している。近年、キャッシュカードに国際ブランドを載せてデビットカードとして利用可能なものが増えているが、Oliveで提供されるカードでは「キャッシュカード」「デビットカード」に加え、「クレジットカード」「ポイントカード」の機能も付与される。

　カードを申し込むと、審査が通れば標準のデビットカード機能に加え、さらにクレジットカードとしての機能が利用できるようになる。両者の切り替えはモバイルアプリ上で行い、銀行口座の残高と与信枠を支払いによって適時使い分けられるというのが「フレキシブルペイ」となる。

　また、2024年以降のTポイントとの統合が発表されている三井住友グループのポイントプログラム「Vポイント」も支払いのための残高としての利用が可能で、この切り替えもアプリで行える。カードとして1枚4役をこなすことが可能で、このモバイル利用を前提としたシンプルさがOliveならではの特徴といえるだろう。

スーパーアプリを標榜するOlive

　このようにOliveは「すべてのサービスがモバイルアプリを通じて利用できる金融決済サービス」という特徴を持つが、三井住友グループではこれを「スーパーアプリ」と表現している。

　「スーパーアプリ」とは、中国の人気決済アプリであるWeChat（Pay）やAlipayがその決済機能を軸に配車やデリバリーなど各種サービスの窓口として動作し、その他のアプリの代替としてその役割を集約していったことに対し、そうしたアプリを指す言葉として用いられるようになったものだ。

　中国のみならず、東南アジアの各国でも似たようなスーパーアプリが各種存在しているが、欧米系ではこうした流れはみられず、アジア圏特有の現象としてよく議論に上っている。日本でもかつて決済アプリのPayPayがリリース初期に「スーパーアプリ」という単語を多用していたが、最近ではあまり聞かなくなっていた言葉であるのも事実だ。

　いまこのタイミングで「スーパーアプリ」というキーワードが、三井住友グループという大手金融機関の銀行アプリから再び登場した意味は何なのだろうか。


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