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- 2024/12/10 掲載
セレンディクスとは?能登「3Dプリンター住宅」で問い合わせ1万件超、意外な別の顔
3Dプリンター住宅は「10億ドル」の巨大市場に成長見込み
世界的に3Dプリンター住宅が成長を見せている。米調査会社スカイクエストによると、市場規模は2022年に3,682万ドルだったが、2030年には10億5,510万ドルへと、CAGR(年平均成長率)で60%を超える成長率になると見込まれている。2024年現在での主要市場は北米と中国だが、今後は南米、中東およびアフリカ、さらに東南アジア全体での成長が予想される。3Dプリンター住宅とは、壁などを3Dプリンターによって出力し、それを組み合わせることで建設される住宅のこと。簡単かつ工期が短く、コストを軽減できる家作りの方法だ。現段階では小規模住宅に適用されるケースが多いが、米国では大型の高級住宅にも適用されるなど、3Dプリンター住宅への需要が広がっている。
プリント素材としてはコンクリートが最も多く、かつコストや工期の面でも利点がある。今後の素材もコンクリートが中心になると考えられるが、上位モデルとしてプラスチックや金属などの素材を使った3Dプリンター住宅も増加している。
現在、この領域のトッププレーヤーとしては次の企業などが挙げられる。
3Dプリンター住宅の主要企業 | ||
企業名 | 読み方 | 拠点 |
Apis Cor | エーピス・コー | ロシア |
Contour Crafting | コンター・クラフティング | 米国 |
Winsun | ウィンスン | 中国 |
Icon | アイコン | 米国 |
Mighty Buildings | マイティー・ビルディング | 米国 |
CyBe Construction | サイビー・コンストラクション | オランダ |
Total Kustom | トータル・カスタム | 米国 |
特にコンターとアイコンは、それぞれニューヨーク州とアリゾナ州で3Dプリンターによる大型の高級住宅を建設したことで知られている。中国では、集合住宅を3Dプリンターで建てる動きが広がっており、ウィンスンは地上5階、地下1階建てのアパートを2015年に完成させている。
能登の復興住宅で注目「セレンディクス」が持つ“別の顔”
そんな中、日本でも3Dプリンター住宅で注目されている企業がある。2024年1月に起きた地震と9月の大雨によって大きな被害に遭った能登半島に3Dプリンター住宅を建設したセレンディクスだ。10月に公開された能登での第1号住宅が注目を集め、現在は問い合わせが1万件を超え、購入意向を表明する顧客は3000件を超えるという。2018年に設立された同社は、ややユニークな経緯で生まれた会社である。
セレンディクスの社長である小間裕康氏は、フォロフライという、日本向けの商用車を開発し中国からOEMで車体の供給を受け販売する、ファブレスEV企業の社長としての顔も持つ。
フォロフライの前身はGLMというEVスーパーカーの開発・販売をする企業で、その時に使用した車製造用ロボットなどを使って新しいモノを生み出せないかという思いから、3Dプリンター住宅の企画販売を始めたという。
小間氏は「当時ラオスにいたCOOの飯田が、『安いコンドミニアムを造って現地の人に提供したい』と言っていたのに感化され、低コストで建てられる家に興味を抱いた」と語る。 【次ページ】ファブレスEVを住宅に応用、セレンディクスが注目される理由
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