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- 2022/06/09 掲載
米テック企業で「大解雇時代」が到来? 批判集まるZoomでの“冷淡な通達”
米テック株低迷、いまだ底には至らず
つい最近まで「大退職(great resignation)」がトレンドとなっていた米国労働市場だが、市場の急変に伴い新たなトレンドが出現し、米国メディアの注目を集めている。それはテック業界における「解雇(layoff)」と「新規雇用抑制(hiring slowdown)」だ。
大退職は、コロナ後の経済復興を背景とした人々の楽観的なムードによって拡大していった節があるが、このトレンドから1年も経たない短期間で、市場のムードは悲観的なものに転じている。
その主な要因となっているのが、米国の物価上昇と景気先行きを悲観した投資資金の流出だ。これは、アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、テスラ、メタなどを中心としたテクノロジー株で構成されるナスダック指数の動きに如実にあらわれている。
ナスダック指数は、コロナの影響を受ける直前の2020年2月14日に9731ドルまで上昇していたが、コロナの影響により同年3月には6900ドルまで下落。
しかし、ステイホームやリモートワークによるデジタル需要の高まりを受け、2021年11〜12月頃まで上昇を継続、同年11月15日には1万6500ドル以上とコロナ前の2倍近い水準に達した。
しかし、物価上昇による金融引き締め懸念などを背景に、投資資金の流出が始まり、2022年5月には1万1000〜2000ドルの水準にまで落ちこんでいる。
個別株でみても、2021年末頃3500〜3600ドル代で推移していたアマゾンが現在2100〜2300ドル代、330〜370ドルだったメタ株も200ドル付近まで下落するなど、テック株から大量の資金が流出していることがうかがえる。
2022年6月1日時点の米国内では、その株価は最悪の状況は過ぎ去ったとの見方がある一方で、物価上昇はまだピークには至っていない。そのため、米テック株がどこまで持ち直すかは、いまだ不透明だ。
テック業界で顕著になる解雇や新規雇用抑制
市場全体が悲観的なムードから脱せない背景には、テック企業の間で解雇や新規雇用抑制の動きが広がりを見せていることが挙げられる。現状、資金的な体力のある大手企業では、解雇ではなく新規雇用抑制にとどまるところが多いが、解雇に踏み切る大手企業も出始めている。
中でも注目を集めたのが、業績の大幅な下方修正を発表したネットフリックスによる解雇だ。フルタイム150人、傘下企業や契約社員150人を解雇した。
ブルームバーグの報道によると、電子決済大手のペイパルもリスクマネジメント部門とオペレーション部門の人員削減を開始。この数週間前には、サンノゼ本社で80人以上が解雇されたばかりだ。
またサンノゼ本社以外では、シカゴ、ネブラスカ、アリゾナなどでも人員削減が行われているという。
そのほかにもマイクロソフト、NVIDIA、Lyft、スナップ、ウーバー、メタ、ツイッター、セールスフォース、コインベースなどが最近次々と新規雇用の停止・抑制を発表、またBolt、Carvana、Cameoなど比較的規模が小さな企業では解雇が実施されている。
【次ページ】注目されたユニコーン企業でも大規模人員削減
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