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- 2022/05/19 掲載
定年70歳時代は来ない?法改正から1年、コロナでシニア活躍の機会は失われたのか
改正から1年、高年齢者雇用安定法の影響は?
定年70歳時代が到来か?と本連載でも触れてきた「改正高年齢者雇用安定法」が2021年4月に施行されてから1年が経過した。しかし、昨年の改正までに、あるいはそれからの1年間で、70歳までの定年延長や定年廃止をした企業のニュースを耳にしたという方は少ないのではないだろうか。私もシニア人材の紹介サービスを提供しているが、シニアを採用したいという企業であっても「最近定年を延長した」とはあまり聞かない。ただ、シニアを採用したい企業数自体は、シニア転職支援の数値上も感覚としても増え続けているのは確かだ。
とはいえ、国の制度が改正され、さらに今年2022年4月には年金制度の改正もあり、それらの内容を扱ったメディアの記事や番組も相当数があった割には、実際のシニアの就業や転職への影響があまりにも小さいように思える。
今回は、シニアの活躍や転職・再就職、そして企業のシニア採用に、法改正は影響を与えたのかを考える。
“70歳までの就業機会確保の努力義務”とは?
2021年度の企業やシニア人材の動向の前に、そもそも改正高年齢者雇用安定法は、定年や老後の働き方をどのように変えるものだったのか、軽く振り返っておこう。この法改正、ともすると「70歳」が独り歩きしがちだが、「企業の定年を70歳に引き上げる」という法律ではない。簡潔に言うと、「これまでの65歳まで雇用し続けるルールに加えて、社員や社員だった人が70歳まで何らかの仕事に就けるよう、企業は努力してください」といったものが、昨年の法改正だった。
厚労省や労働局、そしてマスコミの説明としてよく用いられる「70歳までの就業機会確保の努力義務」という言葉は上記の内容を指している。努力義務なので70歳まで雇わなくても罰則はないし、そもそもこの法改正の内容では、65~70歳までの働き方も直接雇用である必要がなく、雇わずに業務委託にしたり、自社ではなく他社に再就職させたりすることが選択肢に入っている。
つまり、70歳まで自社で雇い続ける以外にも道はあるし、そもそも努力義務なので取り組むことすら会社は強制されないため、定年を70歳まで延長、あるいは廃止する必要性は低い。
2022年4月の年金改正については本連載で詳しく解説したが、こちらも年金の支給開始年齢が上がるわけでなく、働き続ける場合の年金のルールが若干良くなる程度のものであるため、やはり「是が非でも70歳まで働かなくては・雇わなくては」といったことにならない。
2021年4月施行の改正高年齢者雇用安定法の最重要ポイントをまとめると、以下の2点だ。
- 企業は社員が70歳まで働き続けられるよう努力することが求められるようになった
- 社員や元社員の65~70歳までの働き方は、企業が直接雇う以外にも選べるようになった
【次ページ】法改正前はシニアの採用企業も転職者も増えていた?
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