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- 2021/09/10 掲載
デジタル給与解禁で大変革? 決済フィンテック企業3社のCTOが語る「決済の未来」
決済のカギは「新しい価値移動のインフラと体験をどう作るか」
決済サービスを展開する上で重要なのは、サービスを実現する環境の整備である。2017年から決済・送金アプリである「Kyash(キャッシュ)」のサービスを提供しているのがKyashだ。その後「KyashCard」の発行、3Dセキュア(VCAS)機能の実装、共有口座のスタートなど、サービスを拡張し続けている。Kyashでは、環境の整備をどう考えているのだろうか。Kyashでのこれまでの開発の経緯を踏まえて、山﨑氏はこう説明している。
「ビジョンとして持っているのは、新しい価値移動のインフラをどう作るかということです。お金のやりとりにおけるストレスの解消を目指しながら、開発を進めています。僕らはVisaの決済サービスを内製化しているのですが、そこが強みになるのではないかと考えています。自分たちで作っているからこそ、最適なUXを届けられる可能性が大きくなるという方針に基づいて開発を続けているところです」(山﨑氏)
法人向けサービスの難易度を上げているのは「規制の多さ」
決済サービスの進化とインフラの整備とは不可分の関係にある。特に法人向けのサービスは、歴史的に個人向けサービスから発展してきた経緯があるが、従来の個人向けサービスでは求められなかったレベルのガバナンスを担保する仕組みがまだ発展途上なのだ。その難しさについて、ウォレットサービス「paild(ペイルド)」を展開するHandiiの森氏はこう指摘している。「toBの決済はお金を使えるということ以外にもいろいろな要素があります。お金を適切に使えているかのチェック、使ったあとのトラッキングなど。つまり前工程と後工程が膨大で、かつ各社それぞれの内部統制・コンプライアンス・決済ポリシーがあるのです。そうした中でスムーズに決済のエクスペリエンスを提供するためには、考えなければならないことがたくさんあり、複雑な作業が必要になります。目指す最高形は、個人が買い物をする感覚で法人でもお金が支出できることです」(森氏)
法人向け決済の難しさは、ステークホルダーが多いことであると森氏は指摘する。個人ならば、決済に登場するのは、お金を使う人だけである。しかし法人の場合は「お金を使う人」「お金を持っている人」「お金を管理する人」「承認する人」「トラッキングする人」など、さまざまな登場人物がいるのだ。
「どこかの立場に寄せていくということではなくて、すべてがうまくコラボレーションする形で、ユーザー体験を組み立てなければと考えています。従業員はもちろん、経営・経理・総務・法務など、すべての部署が統一的に扱えるのが理想です。いろいろな範囲をカバーするツールがあるので、我々が内製で持たなくてもいい部分もあります。他社のソフトとの連携も考えて、ユーザー体験を組み立てていけたらと考えています」(森氏)
既存のサービスをブラッシュアップするとともに、先を見据えた開発も必要となってくる。
【次ページ】ペイロールが決済サービスに与える影響とは
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