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  • 2021/03/22 掲載

百貨店が“アマゾンに勝つ”には? 「顧客データ×リアル×金融」で差別化を図るJFRカード

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百貨店は決済ビジネスを突破口に顧客との新たな関係を築き、将来への活路を見いだそうとしているが、ECが全盛の昨今売っている「モノ」だけでは差別化は難しい。どのようにアマゾンや楽天といった巨大EC群と競っていくのか。J.フロント リテイリンググループ配下のJFRカードの取り組みについて、同社の代表取締役である二之部 守氏に話を聞いた。
聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:吉村 哲樹

聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:吉村 哲樹

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JFRカード
代表取締役
二之部 守氏

「楽しい顧客体験」と「地域活性化」でアマゾンに対抗

 大丸松坂屋百貨店やPARCO、GINZA SIXといった大規模商業施設を配下に持つJ.フロント リテイリンググループにおいて、クレジットカード業務を専門に扱っている、JFRカード。同社は長年に渡り、大丸松坂屋百貨店の顧客向けクレジットカード「大丸松坂屋カード」の発行・運営を一手に担ってきた。また、長年に渡って蓄積してきた決済データを活用して顧客に斬新な付加価値サービスを提供すべく、現在新たなビジネスモデルの創出に挑んでいる。

 二之部氏は、変革のための戦略として「グループのクレジットカードの顧客数をさらに増やしていくこと」「金融商品のクロスセル戦略」「 現状の高コスト体質を改善することで収益を向上させること」を挙げた。

 
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JFRグループが公開したQIRAカード。縦型の数字デザインなどが特徴だ
(出典:JFRカード報道発表)

 「クレジットカードの顧客数をさらに増やす」ために取り組んでいるのが、クレジットカードの刷新である。現在、J.フロント リテイリンググループ傘下の各商業施設では、「PARCOカード」や「博多大丸カード」などが存在しているが、J.フロント リテイリンググループでさまざまな優待がある大丸松坂屋カードの魅力をアピールして、さらに顧客数を増やしていきたいとしている。

 そして、この「クレジットカード利用」を最大化するキーとなるのがJFRカードが2021年1月に発表した、大丸松坂屋カードのリニューアルと「QIRAポイント」という新たなポイントプログラムの提供である。これまでの大丸松坂屋カードは、買い物を行うごとに大丸松坂屋百貨店で利用できるポイントを貯めることができたが、新カードではこれに加えてQIRAポイントも新たに貯まるようになる。

 このQIRAポイントは大丸松坂屋百貨店だけでなく、スーパーやコンビニ、オンラインショップなどでの買い物でもポイントを貯めることができ、かつそれを利用する際も大丸・松坂屋のポイントだけでなく、Tポイントや楽天ポイント、WAON ポイント、Amazonギフト券などの各種ポイントや、その他さまざまな商品券や“モノコト”に交換できるようになっている。

 この新たなポイントプログラムを始めた目的について、二之部氏は「リアル世界において、お客さまにより価値の高い体験を提供するため」と説明する。

「J.フロント リテイリンググループの強みは、東京の上野や名古屋の栄、大阪の心斎橋といった特定地域に根差した大規模商業施設をグループとして運営している点にあります。QIRAポイントはそれらの商業施設だけでなく、周辺の他の店舗での買い物でも貯められますから、地域全体でお客さまの回遊を促して、楽しい顧客体験と地域活性化を同時に実現できます。この点はアマゾン(Amazon)でもできない我々の強みだと自負しています」

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JFRグループにおける決済・金融事業
(出典:JFRカード報道発表)

巨大ECに提供できない価値を生むには

 JFRカードでは「地域全体でお客さまの回遊を促して、楽しい顧客体験と地域活性化」という2つの目的を達成するために、QIRAポイントの仕組みに加えて、スマホアプリを通じて顧客に地域の情報を発信したり、クーポンや広告を送り届けたりといったような仕組みも検討しているという。

 こうして決済に紐づいたポイントプログラムと、それに連動したデジタルの仕掛けとの相乗効果を通じて、リアル世界における顧客体験をより充実したものにしていく。

 二之部氏は「当然ながら、これからの百貨店はモノを売るだけの場ではあり得ない」と指摘する。アマゾンや楽天に代表される大手EC事業者が急速に台頭し、特に若い世代の購買行動の大半をこれらECサイトが占めるようになってきている。さらには、今後もコロナ禍の影響により非対面・非接触の生活が推奨されることが予想され、ますますECへの依存度が高まると考えられる。

 そんな中、百貨店ビジネスはこれからどうやって存在感を示していけばいいのか。そしてクレジットカード会社はその中で、どんな役割を果たせるのか。二之部氏は、「体験の提供」がこれからの百貨店ビジネスのコアコンピテンシーになるのではないかと述べる。

「ヤフーやアマゾンが、東京駅前の一等地に“スペース”を持つことは難しいでしょう。その場所で物を売るんじゃなくて、体験を売る。同じお買い物にしても。化粧品を試したり食品なんかにしても、生で見られるとか。だからリアルの場所をどうやって有効活用して、収益モデルを作っていけるかということに尽きるのです」

 「体験の提供」する上でまず注力するのは、「金融商品のクロスセル戦略」に基づく、顧客のライフプランニングを通じた保険など金融商品の提供である。

【次ページ】「金融商品のクロスセル」と百貨店ビジネスの展望
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