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  • 2023/10/05 掲載

株式投資型クラウドファンディングとは何か? 業務に関する規制や規則、実績を解説

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企業活動にとって重要な「資本政策」。スタートアップや未上場企業に対する選択肢を充実させることは大きな課題だ。国内では、STO(Security Token Offering:セキュリティ・トークン・オファリング)や投資型クラウドファンディングを始め、多様な資本政策が、少しずつ普及してきた。本稿ではこのうち「投資型クラウドファンディング」の現状と課題について解説する。
執筆:黒崎 美穂、取材協力:渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 落合孝文、イークラウド

執筆:黒崎 美穂、取材協力:渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 落合孝文、イークラウド

フリーランス広報/PRSJ認定PRプランナー。98年早稲田大学卒業後、OLC、三菱商事系不動産デベロッパーなどで経営企画業務に従事。2016年よりフィンテック業界に転身、数社で広報部門立上げやメディアリレーションを担当。2019年よりフリーランスとして独立。Fintech協会の他、スタートアップ企業を対象とした広報戦略策定等のコンサルティングに従事。

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株式投資型クラウドファンディングとは何か?
(Photo/Shutterstock.com)

株式投資型クラウドファンディングとは何か

 株式投資型クラウドファンディングを説明するために、まずは「クラウドファンディング」をいくつかの類型に分けて説明します。

 クラウドファンディングには、寄付という形で事業者を応援する「寄付型クラウドファンディング」、前払いで集めた資金を製品開発に活用し、完成したものを購入者に提供する「購入型クラウドファンディング」、融資に関する「融資型クラウドファンディング」が存在します。

 「融資型」のうち、インターネット上のクラウドファンディングサービスを通じ、株式会社に出資することで企業の株主になれる方法が、株式投資型クラウドファンディングです。

 株式投資型クラウドファンディングは、2015年に改正金融商品取引法が施行されたことにより、本格的に環境が整備されました。たとえば未上場企業であっても、社会的に価値の高いサービスを提供していたり、その将来性を期待されていたりする企業への投資ができる点が大きな特徴です。

クラウドファンディング 株式型 会社の株式を購入し、株主となるもの。未上場企業の株式を購入できる。
融資型
(ソーシャルレンディング)
企業に「融資」を行うための資金を提供するもの。
表1:金融取引に関するクラウドファンディングの分類

 企業が資金調達をする際、多くの大企業が株式市場などから調達が可能です。一方で、スタートアップ企業などは多くの方からの出資を受けることは、容易ではありません。この課題を補完できる資金調達手段が株式投資型クラウドファンディングなのです。

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図1:株式投資型クラウドファンディングの流れ
(出典:新経済連盟「株式投資型クラウドファンディングに関する規制改革要望」)

 株式投資型クラウドファンディングはスタートアップだけでなく、一般企業でも利用が可能です。たとえば新規事業を始めるときや、子会社を設立したいといった際に個人投資家にも参加してもらう道を作るものです。

 一般の個人投資家にとっても、ここ数年で投資の選択肢の1つとして存在感が高まってきています。

株式投資型クラウドファンディングの現状と課題

 株式投資型クラウドファンディングは、年々その取扱件数や募集価格は増えています。2019年と2022年の募集価格総額を比較してみると、コロナ禍によりさまざまな分野で進んだデジタライゼーションの後押しもあってほぼ倍増となっています。

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図2:株式投資型クラウドファンディングの募集価格総額推移
(出典:日本証券業協会サイトより編集部作成)

 2023年6月現在、国内では5つの企業が株式投資型クラウドファンディングサービスを提供しています。

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株式投資型クラウドファンディングの事業者

 スタートアップ資金調達案件を取り扱うイークラウドによると、「起業家からの株式投資型クラウドファンディングの相談数が前年比3倍のペースで増えている」といいます。

 このようなニーズの高まりについて同社は「米国テック企業の株価暴落などの影響が波及し、スタートアップの資金調達において“冬の時代”が到来しているといわれる。資金調達の選択肢の多様化が求められる中、個人投資家から出資を受けるという選択肢に目を向けるスタートアップが増加傾向にあるのでは」と説明しました。

 さらに、株式投資型クラウドファンディングがオンライン完結のコミュニケーションであり、全国から出資を募ることができるため、コロナ禍物理的な移動が制限された中でも、首都圏のみならず地方の起業家の調達ニーズにマッチしていた点を指摘しています。 【次ページ】スタートアップ5カ年計画も後押し、規制緩和で実用性向上
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