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- 2020/02/04 掲載
元ヤフー 宮坂 学氏やカヤック柳澤 大輔氏が語る、なぜ“地域通貨”を再考するべきか?

コミュニティの活動を強めていく通貨は可能か?
柳澤氏は「人々が幸せを追求する過程で、経済資本、資本主義が定着した。今、日本は経済的な伸びが見られなくなっている。また、世界では経済が進展した結果、環境破壊などにもつながってしまっている。資本主義が行き過ぎているからSDGsや、ルール、稼ぎ方を考えましょうという意見が出てくる」と話を切り出した。その上で、「今後、“人のつながり”を資本だと見なす人もいそうだ」と指摘する。ただ人のつながりのように、地域社会の資本は可視化することが難しい。結局は、通貨という形がわかりやすいのではという意見もあるという。
そこで柳澤氏は「人のつながりについてその増減を可視化サービスとして、「まちのコイン」で始めたという。まちのコインとは、分散台帳技術を使い、QRコードを介して、ユーザーがポイントを獲得、利用できるコミュニティ通貨サービスだ。
ユーザーは地域活動などに参加するとポイントを獲得し、獲得したポイントを加盟店で利用できる。柳澤氏によると、まちのコインではすべて誰が何に使っているのかが分かり、その内容を公開することも可能だという。
「地域通貨がどのくらい流通しているかを地域ごとに比較することも可能だ。たとえば、秋葉原ではアニメのイベントのときに取引量が増えたりする。そうすると“町の意思”のような動きが可視化される」(柳澤氏)
ブロックチェーンの研究開発を手がける正田氏は、「地方創生」の観点で地域通貨を語った。「地域を活性化しようとしても、東京のコンサルタントが来て、お金とともに東京に戻ってしまうということが散見された。地域で集まったお金を地域で循環させねば」と指摘。モノづくりやコトづくりをやっている地域において、コミュニティコインでお金を回す必要性を語った。
また「今まで人の信用は、『いくら貯金があるか? 持ち家か? ローンはいくらで?』で量られていた。人自体にはスポットが当たっていなかった。こうなると都会に住んでいる人が有利だった」と指摘する。
同氏は、人に光を当てて、その関係性について、感謝、共感、応援といったものをブロックチェーンで形にできないかと考えている。それが実現できるようになれば「地域でコトを起こす場合に、今まで巻き込めなかった人が巻き込めるようになるのでないか。信頼を持った人が、新しく挑戦する人を巻き込めるのではないか」と提言した。
“人に優しい”も1つの才能。東京都参与 宮坂氏が考えるトークンの可能性
宮坂氏は、2019年6月にヤフー取締役会長を退任、同年7月1日付けで東京都参与に就任した(当時)。就任時には、東京都の小池百合子知事が「地域電子通貨や次世代移動サービスなど、IT(情報技術)を活用した政策への助言を求める」とその役割を示していたこともあり、今後の活動も注目されている。「東京都に入る前から“ソサエティ5.0”の方向性や、知事からは『地域デジタル通貨をやりたい』という話があって、今一生懸命やっているところ」(宮坂氏)と現状を説明する。
「東京都に来てまだ3カ月だが、何十人も東京都から表彰されているのを見てきた。消防団、自治会、小さいコミュニティやお年寄り、子供、苦しい生活をされている方を支える人などさまざまだ。報酬もあるが割に合わない仕事も含まれる。貨幣や市場とは別のところで、人間の社会は支えられている」と宮坂氏は語る。
「人は見えないものは評価できない。お金を稼ぐ才能というものもあるが、“優しい”ということも1つの才能だと思う。東京都の人口1300万人の中で、一番人のために働いているのは誰なのか? それがトークンを使って可視化できる可能性がある」(宮坂氏)
【次ページ】つながりをつくる単位は、人口規模ではない
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