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  • 2020/01/16 掲載

ブロックチェーンエンジニアは報われない? 求められるのは「好奇心」と「スルー力」

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2019年10月に開催されたブロックチェーンカンファレンス「b.tokyo 2019」では「これからのブロックチェーンエンジニアに求められること」について技術、マインド、教養を議論するセッションがあった。ここでは、ビットバンク チーフ・ビットコイン・オフィサー 兼 FLOCブロックチェーン大学校 校長 ジョナサン アンダーウッド氏、ブットフライヤーブロックチェーン(bitFlyer Blockchain) 取締役 CTO 小宮山 峰史氏、LCNEM CEO 木村 優氏が、コンセンサス・ベイス代表取締役 志茂 博 氏のモデレートのもと、ディスカッションを繰り広げた。
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(写真左から)小宮山 峰史氏(bitFlyer Blockchain 取締役CTO)、ジョナサン・アンダーウッド氏(FLOCブロックチェーン大学校 校長)、木村 優氏(LCNEM CEO, CTO)、志茂 博氏(コンセンサス・ベイス代表取締役)

ブロックチェーンを取り巻く日本の現状

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コンセンサス・ベイス代表取締役
志茂 博 氏
 「この業界のどこに面白さを感じているか?」、モデレータでブロックチェーン技術の専門企業であるコンセンサス・ベイス 代表の志茂氏の問いかけからディスカッションは始まった。

 分散型台帳技術を利用したプロダクトの開発・提供する会社であるLCNEM 代表の木村氏は「2018年、経済学部を卒業したが、趣味として技術に触れている。ブロックチェーンの考え方の根底には、ミクロ経済学のお家芸である“インセンティブ設計”があると思う。法律やマクロ経済、ミクロ経済などにも通じるところがあり、ブロックチェーンには色々な広がりがあって飽きない」とコメントした。

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ビットバンク
チーフ・ビットコイン・オフィサー 兼
FLOCブロックチェーン大学校 校長
ジョナサン・アンダーウッド氏
 仮想通貨取引所を運営するビットバンクに所属し、FLOCブロックチェーン大学校(ブロックチェーン大学)の校長も務めるアンダーウッド氏は「この業界では、日本と世界のギャップが大変面白い。世界ではワクワクするような取り組みが広がっているが日本では、海外と比較してエンジニアの盛り上がりが弱いと感じる。少しずつ規制変革が進んでおり、今後は期待できるのではないか」との見解を示した。

 ブロックチェーン事業を営むbitFlyer Blockchainの小宮山氏は「私はゲームから金融の世界に移ってきた。インターネットは革命的だったが、当時のインターネットに対する熱狂に対して自分は傍観者となってた。ブロックチェーンは、インターネットに次ぐ大きな革命だと感じている。今、この場にいるということが面白さだ」と熱を込めた。

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bitFlyer共同創業者/
bitFlyer Blockchain取締役CTO
小宮山 峰史氏
 また、現在のブロックチェーンを取り巻く環境について、小宮山氏は「2017年から2018年にかけては、ハイプサイクルでいうところの幻滅期に入ってきている」と分析する。また今後、数年以内に成功するアプリケーションが1個ずつ出てくると予想しており、「それはコインではない新しいアプリケーションとなり、これがブロックチェーンの活用法なのかと皆さんが納得するようなものが出てくる」と予測する。

 アンダーウッド氏は、日本の現状について「政府主導でキャッシュレス化に積極的になっている。ポイントや交通系のカードをたくさん使っている方も多いかと思うが、まだ現金が多い印象だ」と指摘する。

「海外では、デビットカードを使うことも一般的になってきており、本当にキャッシュレス化が浸透している。今後は、ステーブルコイン(価値が安定した暗号通貨)や安定した価格を持ったパブリックコイン、スマートコントラクト(契約の自動化)の機能を備えたトークンなどが主流になると考える。収益化や付加価値について、企業として考えなければならない」(アンダーウッド氏)

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LCNEM CEO
木村 優 氏

 木村氏も現状について、以下のような見解を示した。

「アーリーアダプターよりも遅れて始めた人も、幻滅期を感じていると思う。現状でいうと個別のプロダクト以外で大衆受けしているものは、仮想通貨取引所くらいしかない。しかも暗号通貨について、世間の人はある種の博打だと思っている人も多い。悪く言うと、まだ博打しか市場にフィットしていないのがこの業界だ。恐らく今後大きな発想の転換が出てるのではないかと予測する」(木村氏)

ブロックチェーンのエンジニアの仕事とは

 次に話題は、「ブロックチェーンのエンジニアが具体的に何をしているのか」に移った。

 アンダーウッド氏が所属するビットバンクのエンジニアは、ノードから得た情報を基に、暗号通貨の出入りを管理するシステムのメンテナンスしている。また、新しいコインが“上場”(暗号通貨が取引所に登録され、取引ができるようになること)する際に技術の検証も必要になるため、しっかりとした技術を持ったコインなのか検証することにも取り組んでいるという。

 小宮山氏は「ブロックチェーン領域でもエンジニアであることに変わりはないので、8割はコードを書いて、調べてということを繰り返している。金融機関のエンジニアやSIerと決定的に違う点は、1~2割はコンセンサスやアプリケーションの機能関連で“まったく新しいこと”を入れる必要がある点だ。日々新しい発見がある」と語る。

 また、既存のITシステムとはデータの持ち方が根本的に違うため、「どういうデータ設計をするかというところから考えるべきだ」とし、そこに魅力を感じると説明した。

【次ページ】ブロックチェーンのエンジニアに必要なのは「好奇心」と「スルー力」
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