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- 2019/11/06 掲載
銀行員匿名インタビュー「これからの銀行の生き残り方」
銀行・銀行員のキャリアを考える 第1回
危機感を募らせる銀行
「黒田総裁は金融システムの重要性を理解しているのでしょうか?」インタビューに応じてくれた地方銀行の東京支店に勤務する行員(以下、A氏)は、開口一番、こう切り出した。
「これまで利益にならない預金、決済業務を維持してこられたのは、国債や貸出による金利収入があったから。マイナス金利では、事業の前提が崩れます。景気回復局面でも自己資本を積み増せなかった銀行も多く、景気後退が本格化すれば、融資の姿勢は当然慎重になります。貸し倒れを減らすのが一番手っ取り早いコストカットですから。サービスや手数料も見直していきますよ」(A氏)
こうした現状認識は、インタビューに応じてくれた方々だけではなく、多くの銀行員にとっても同じであろう。1990年代後半から2000年代前半にかけての不良債権処理が問題になった時期、あるいはリーマンショックの際も、金利収入には期待できた。それが今では、10年物国債金利がマイナスに沈み、40年物国債金利でさえも0.5%を下回る。貸出金利の低下も顕著だ。
異次元緩和の金融政策を続ける一方、日本銀行は「金融システムレポート」(2019年4月)では、「地域金融機関は、相対的に信用度の低いミドルリスク企業向け貸出に積極的に取り組みつつ地域の企業・経済を支援しているが、リスクに見合った利鞘(りざや)を確保しにくい状況が続いている。先行きの信用コスト上昇に対する脆弱(ぜいじゃく)性にも留意が必要である」と指摘しており、地域金融機関の危機感は強い。
「オーバーバンキングのせいで低収益」は真実か
地域金融機関の経営不振を受けて、政府は地域金融機関の経営統合を進める方針だが、経営統合だけでは収益は改善しないとメガバンクに勤務する調査役(以下、B氏)は指摘する。「日本の銀行は20年以上、オーバーバンキング(金融機関過多)のせいで低収益と言われてきました。この間、メガバンクは3行に集約されましたし、地銀の統廃合や業務提携も進みましたが、それでも収益は改善していません。そもそも独立系の地銀は少なく、資本や役員の受け入れ、有価証券業務や協調融資(シンジケートローン)などを通じてメガバンクの“色”があり、ある程度グルーピングされています。オーバーバンキングなのは法人としての金融機関の数ではなく、店舗の数が多すぎることです。店舗運営のコストも問題ですが、営業エリアが重なっている限り、利幅の薄い貸出競争が続きます」(B氏)
日本銀行「金融システムレポート」(2017年10月)を基に、他の先進国と比較すると、銀行業の総資産ベースの寡占度(ハーフィンダール指数)は意外なことに、米国よりも高い。一方で、可住地当たりの店舗数を見ると、日本は銀行業の店舗だけでも最多だが、郵便局を含めるとさらに店舗数の多さが際立つ。
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