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  • 2019/10/09 掲載

ファミマ、ケンタッキー、パルコらが登壇、決済や顧客のデータはどう取り扱うべきか

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顧客データをどう活用するかは、企業にとって永遠の命題である。そこで成功を収め、新たな競争力を獲得するには、自社にあった活用法を自身で適切に見極める必要がある。TIS主催の「ペイメントマーケティングカンファレンス」のパネルディスカッションにパルコ 執行役 グループデジタル推進室担当の林 直孝氏、ファミリーマート シニアオフィサー 総合企画部 デジタル戦略部長の植野大輔氏、日本ケンタッキー・フライドチキン 執行役員 営業戦略本部長(兼)営業戦略統括部長の小山典孝氏の3氏が登壇(モデレーターはTIS デジタルマーケテイングサービスユニット シニアエキスパート 秋野 隆 氏)。この難題について、自社の取り組みを交えながら意見を交わした。
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7月26日に開催された「ペイメントマーケティングカンファレンス」

業種・業界を問わず注目集めるスマホ活用

 パルコとファミリーマート、ケンタッキー・フライドチキンの3社は、いずれも顧客データの活用に先進的な企業として知られる存在だ。その施策を概観すると、パルコでは、「より多くの消費者を店舗に呼び込むための接客でのID活用」(林氏)をテーマに、デジタル施策の一環として取り組みを推進。

 ファミリーマートやケンタッキーも、「より緻密なPOSデータの仮説検証によるマーケティングの高度化と、ビッグデータを活用した新ビジネスの創出」(植野氏)、「来店客の適切なセグメント化による効果的な販促」(小山氏)を狙いに、顧客データの収集と活用の幅を拡大させている。

 最初の議題は、そんな3社が今、注力する取り組みだが、その回答で共通したのが「スマホの活用」だ。まず林氏は、「スマートフォンの普及に伴い2012年頃からブログやSNSなどを通じたコミュニケーションの重要性が増してきた」ことを背景として説明。その対応策としてWebサイトやSNS活用を積極的に推進し、そこでのデータの蓄積を分析したところ、「新たに見えてくるものがあった」ことで、2014年にスマホアプリ『POCKET PARCO』をスタート、活用を本格化させたのだという。

 対して、植野氏が理由に挙げたのが、「消費者とのデジタルの接点が増え、顧客の購買活動に影響するようになったこと」だ。

「その結果、デジタル時代にアナログのポイントカードだけでは顧客データを十分に活用できなくなる懸念と、また、店舗の外で顧客との新たなタッチポイントを持つ必要性も高まってきました。そのために、着目したツールがスマホだったわけです」(植野氏)

 ファミリーマート自社ブランドのスマホ決済を、7月に開始。それも、POSデータという貴重な顧客データを自社で取得・活用することを強化するためである。

“個客”のカスタマージャーニーを把握する

 ケンタッキーがスマホに着目した背景には、地方都市の人口減少がある。小山氏は、「当社の店舗は地方都市にも数多く存在します。それらを維持していくには、顧客の動きをより精緻に把握し、本部の指示だけでなく、エリア特性も加味した最適な販促活動を展開できるかが鍵となります」と訴える。

 そのために同社では、POSデータと各種のWeb調査結果による顧客分析をかねてから実施。この活動を推し進め、よりきめ細かな分析と、“個客”との新たなコミュニケーションの手段として、1人1台のスマホは無視できない存在なのだという。

 もっとも、取り組みの手応えには、現時点で各社ごとに“温度差”もあるようだ。成果を実感しているのはケンタッキーとパルコだ。

 まずはケンタッキー。実は同社では従来、POSデータ分析により、新製品の売れ行きには60日の波があると捉えられていた。しかし、Web調査も加味した再分析により、波は30日と90日の2種類あり、60日はその平均でしかないことを突き止める。それを基に、「販売キャンペーンの統合や見直しを通じ、品切れリスクを大幅に低減させることができました」(小山氏)。

 併せて、同社ではマーケティングや商品開発などの部門が独自設定していた顧客セグメントを、Web調査の結果から約1年をかけ13にまで全社的に統合。これにより、部署間の意見調整の円滑化や、各セグメントへのメッセージチャネルとメッセージ自体の最適化につなげられたのだという。

 一方のパルコも、PARCO POCKETにより“個客”のいわゆる“カスタマージャーニー”をより詳細に把握することに成功している。

「まず、コンテンツの閲覧やお気に入り登録、GPS機能と連動した店舗チェックイン情報などから、お客様の来店前から来店までの興味関心や来店行動を理解できます。また、館内で一定の歩数を歩くと入手可能なWALKING COIN(ポイント)の利用は、複数ショップでの買い回りの促進に高い効果があることも確認できています。商品購入後にはアプリにアンケートを送付し、その回答により買い物体験の満足度も確認できます。これらの情報をIDに紐づき整理された状態で分析できる意義は、当社にとり決して小さくありません」(林氏)

【次ページ】事前に必要性を判断し、使わないデータは集めない
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