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- 2024/09/04 掲載
2024年の金融行政方針を解説、事業性融資推進が「金融行政の目玉」の理由
大野博堂の金融最前線(78)
2024事務年度の金融行政方針が公開
本年8月30日に公表された金融行政方針では、昨今の金融経済環境の変化を「不確実性」とした上で、金融行政の施策や手法の「不断の見直し、改革」を進めると説明している。「金融のメカニズムを通じて持続的な経済成長に貢献する」「金融システムの安定・信頼と質の高い金融機能を確保する」「金融行政を絶えず進化・深化させる」の3つを柱としている点が特徴だ。
本稿では、3回の連載企画にて金融行政方針で言及されたトピックを解説することとし、第1回となる本稿では、金融機関と顧客との関係強化に向けた論点を取り上げる。
顧客本位の業務運営体制確立に向けた点検の開始
注目すべきは、家計が安心して金融商品を購入できる環境を整備することを目的に、「販売会社等の顧客本位の業務運営の確保に向けモニタリングを行う」とした点だ。これまで、複数行にモニタリングがなされてきたものが、「本格的な水平レビューの段階を迎えた」という解釈がなされた。サンプルモニタリングを通じて一定の問題意識、すなわち、各行に共通する課題が導出されたということであろう。
具体的には今後、外貨建一時払保険や仕組債などの金融商品を販売する金融機関に対し、以下のモニタリングが実施される模様だ。
- 金融商品の販売に経営陣がどのように関与しているか
- 従業員の報酬・業績評価体系はどうか
- 適切なプロダクトガバナンス態勢が構築されているか
- 販売・管理態勢はどうか
- 外貨建一時払保険や仕組債の販売勧誘・顧客管理などに係る業界規則などへの対応状況はどうか
経営陣の関与については、トップダウンで過度にリスクの高い金融商品の販売奨励をなされていないか、といった点が確認されるものと想像する。
また、従業員のインセンティブの軽重そのものを点検することで、過度な競争意識やインセンティブ獲得を助長する報酬体系が用意されていないか、が問われることだろう。
その上で、顧客の意思やリスク受容量に反する販売勧奨の有無を確認するために、販売・管理態勢そのものの現状を捕捉する模様だ。
こうした個別確認を通じ、すでに各金融機関がWebサイトなどを通じて顧客に公表している「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づく取組方針との整合性を確認することとされている。
また、外貨建一時払保険や仕組債の販売勧誘・顧客管理等に関する業界規則などへの対応状況の確認に加え、販売実績のみならず「苦情の状況から留意が必要なリスク性金融商品を特定し」、その販売・管理態勢などの妥当性を検証する、としている。
ここでいう「苦情の状況」とは、顧客から金融機関への苦情やクレームだけでなく、顧客から金融庁に寄せられる苦情やクレームも含まれると理解される。
金融庁には多い月で数百件以上の苦情やクレーム、告発などが顧客や金融機関職員から寄せられるといわれる。
今後はこうしたインバウンド情報をについて、AIなどで重要性の高い事案を特定し、個別具体的なモニタリングに生かそうとしているものと推察される。 【次ページ】「金利のある世界へ」、事業性融資を推進するワケ
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