有望なビジネスチャンスを持つ総合半導体メーカー

　STマイクロエレクトロニクスは、産業用および車載用エンドマーケット向け半導体メーカー大手である。エコノミックモート評価（注1）がNarrowである同社は、2024年について弱含みの見通しを示唆したが、直近の自動車市場（特に電気自動車）の低迷は行き過ぎの感があることから、STマイクロエレクトロニクスは情報技術セクターの厳選推奨銘柄の1つとなっている。


　同社の株価は割安で、推定公正価値である66ドルを大きく下回っている。STマイクロエレクトロニクスは米モーニングスターの「投資収益率が最も高い超割安株 厳選5銘柄」に選出されている。

　STマイクロエレクトロニクスは欧州最大級の半導体メーカーであり、業界で最も幅広い製品ポートフォリオを持つ企業である。車載市場をリードする同社の技術と確固たる地位が、将来を楽観視できる理由であり、特に炭化ケイ素（SiC）をベースとしたパワー製品に有望なビジネスチャンスがある。

　自動車業界はより安全で環境に優しく、よりスマートな自動車に重点的に取り組んでおり、その結果、自動車1台あたりの電子部品搭載量が増加している。

　STマイクロエレクトロニクスのような総合半導体メーカーは、先進インフォテインメント（情報娯楽）システム、バッテリー管理ソリューション、死角検知といった新安全機能関連のセンサーに対する需要拡大から利益を得る立場にある。また、広範囲にわたるマイクロコントローラ（CPUなどを1つの集積回路にまとめた極小のコンピュータ）の販売も成長に向けた良い道筋になると思われる。 【次ページ】競争優位性はどこにある？ 今後の収益性は？