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- 2023/11/22 掲載
「令和の若者=超ツライ」を示す証拠の数字、1980年代の若者と比べてわかった生活の差
若年層からの支持が著しく低い
このところ岸田政権の支持率低下が顕著となっているが、中でも若者からの支持が著しく低い。時事通信の10月調査によると、「70歳以上」では36.0%の支持があるのに対して、「18~29歳」の支持率は10.3%だった。安倍政権や菅義偉政権では、若年層の支持率は高かったという現実を考えると、首相のイメージが大きく影響しているのは間違いない。若年層の経済的負担は年々増加しており、もともと支持率が低下しやすい土壌があった。ここに岸田氏のイメージが重なり低支持率になったと考えるのが自然だろう。日本では高齢化の進展に伴い、有権者の比率が高齢者に偏っていることから、高齢者向けの政策ばかりが実施されるという、いわゆる「シルバー民主主義」が顕著となっていた。これは人口構成上、ある程度は仕方のないことかもしれないが、若年層から見ると自分たちは放置されているという感覚を持ってしまう。こうした中で政策を立案する場合には、可能な限り世代間格差を縮小させる工夫を行うことが重要となってくるが、そのためには、若年層と高齢者層で、どの程度、負担が違うのかについてしっかりと認識しておく必要がある。
若年層が中高年世代に対して、最も世代間格差を感じているのは、やはり年金だろう。
日本の年金は現役世代が支払う保険料で高齢者の給付を賄うという賦課方式となっている。現役世代の人口が減り、高齢者世代の人口が増えると、当然のことながら現役世代の負担は大きくなる。
現時点で年収400万円程度のサラリーマン(ボーナスが70万円と仮定)における月々の年金保険料は約3万円となっている。一方、1980年代の後半に若者だった世代は、そろそろ年金をもらう年齢に差し掛かりつつあるが、この世代が若い時には、同じ年収400万でも月々の負担は1万7,000円程度で済んでいた。
つまり30年程度の期間を経て月あたり1万3,000円程度、負担が増えた計算となる。この違いが許容できないレベルなのかは人によって感覚が異なるかもしれないが、やはり月1万3,000円の負担増は大きい。
政府も世代間格差の縮小を進めている
政府もこうした状況を放置していたわけではなく、現役世代の負担があまりにも重すぎることから、これを是正する改革を進めてきた。その中核となっている仕組みが「マクロ経済スライド」である。先程、説明したように、日本の年金は現役世代が納めた保険料を高齢者に支払う方式なので、年金財政の悪化を回避するには、現役世代の保険料をさらに引き上げるか、高齢者の年金給付を減らすかのどちらかしかない。政府はこれ以上、現役世代の保険料を引き上げることは難しいと判断し、段階的に高齢者の年金給付を減らす「マクロ経済スライド」を発動した。
このため、今、高齢者が受け取っている年金は、毎年少しずつ減額されている。40代の頃、400万円台の年収を得ていた人は、現時点では月15万円程度の年金を受け取れているが、年金額は毎年減らされており、20年後には月12万円程度まで下がる可能性が高い。このところ物価上昇が顕著になっているにもかかわらず、年金が増えないため生活が困窮しているというニュースをよく目にするが、これは若年層の負担を軽減するため、高齢者の給付を削減したことの要因が大きい。
しかしながら、この減額制度はあくまでも高齢者の給付を引き下げるという話であって、現役世代の負担が直接的に減るわけではない。こうした状況から、世代間格差を本当に解消するためには、若年層の保険料を引き下げる必要があるとの意見も出ている。
では、高齢者が若かった頃のレベルまで、つまり月3万円から月1万7,000円程度まで負担を減らした場合、年金はどうなるだろうか。年金の場合、徴収と給付はセットで考える必要があるため、保険料を引き下げれば、理屈上、その分だけ給付を減らす必要が出てくる。
上記のケースでは、保険料を43%減額することになるので、給付も同じ割合だけ減らさなければ年金財政は破綻してしまう(企業がその分を負担すれば話は別だが)。ここで給付を維持するため税金から補填してしまえば、結局のところ現役世代の稼ぎの一部を充当することと同じになり、不公平を解消できない。 【次ページ】保険料の減額は最終的には若年層にも影響を及ぼす
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