• 2024/10/01 掲載

成功率「まさかの」9割越え、テルモ開発者が製品開発で「無双」できた納得理由とは(2/2)

連載:イノベーションの「リアル」

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「100点」を目指す必要はないワケ

──この絶対に世に出さなければいけない執念というのは、開発者ならば皆が持っているはずですが、人によってその強さに差があるようにも思います。沓澤さんはどんな経験が執念、強い思いにつながっているのですか。

沓澤氏:そんなに強烈な体験や経験があったということでなく、やはりテルモに入社してくる人間というのは、何かしら社会貢献をしたいと思っているわけです。私も医療機器はより社会貢献に役立つのではないかという思いがあったというのが入社を決めた理由の1つです。


 また、要素研究として技術的に難しい内容を突き詰める気持ちはもちろんありますが、開発者としては「モノ」がないと何の社会貢献も生まれないわけですね。ですから、何らかのモノ生み出したい思いが1つ。そして、上述したような上司、先輩に恵まれていたというのが1つです。

 彼らにはよく「100点を目指す必要はない」とか「石橋を叩いて渡らないやつはいらない」とか、普段からそういう話をストレートな表現で聞いていました。そのため、100点でなくても早くモノを出して、患者さんに使っていただくのが重要だというのはずっと意識してきました。

なぜ「先を見すぎてはいけない」のか

──プロジェクトを成功させるために、同じチームのメンバーに日頃伝えていることなどはありますか。

沓澤氏:私が開発チームのメンバーにいつも言っていたのは「あまり先を見すぎるな」ということです。よく10年先にどういう商品が望まれるかを考えなさいと言われますが、それを考えている間に下手すると10年経っていたりするわけですね。

 それだったら5年先に望まれる製品でいいから、それを2年で開発してリリースすれば、3年間は優位性が保てるわけです。10年先は難しいけど、5年先、3年先だったら製品がヒットする確率が上がるので、そこまでできる技術を組み合わせてやっていきましょうというのが1つです。

 たとえば、あるセンサーを使って、チューブの外から温度を測りたいというプロジェクトがあったとします。その際は、私たちは20個ぐらい、技術をリストアップします。その中から、今回使えそうなものってどれだろうっていうのを選択して、最終的に3つくらいに絞って実験をして、実現に近づけていくわけです。

 そんなアプローチを取ると、今回は使わなかったけど、検討したネタというのがあるわけです。これは次回使えるストックとして「引き出し」にしまっておける。自分たちのチームの技術として蓄積されるのですね。そうすると、別のテーマが与えられたときに、温度測定であればこのやり方、圧力測定だったらこのやり方というふうに、すぐに引き出しから取り出せるようになるわけです。

──20代・30代の若い研究者や開発者に向けて、何かアドバイスやメッセージをお願いします。

沓澤氏:ここ数年、言っていることは「夢は持ってください」ということです。でも夢だけではダメで、「それを実現するための具体的な目標をブレイクダウンして、計画に落とし込んで取り組む」ことが大事です。その上で、どんな小さいところからでもいいので、まずは成功体験を積み上げていってほしい。

 皆さん夢を持ってこの会社に入ってくると思います。でも実現できないと、変な話、もう会社を辞めて別のところにいくというケースもゼロではない。だから、小さくても良いので成功体験を積み重ねてほしいです。そうやって、くじけずに進んでいく、開発を続けていってほしいというメッセージを若い人には伝えたいですね。

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