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- 2022/05/09 掲載
日本の絶望的な賃金水準は“米国の55%”、20年上がらない「最大の原因」を数字で証明
連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
日本の平均賃金は米国の55.5%
OECDが、加盟国の平均賃金を公表している。いくつかの国について2020年の数字を示すと、次の通りだ。2020年の平均賃金の国際比較 | |
国 | 平均賃金 |
日本 | 3万8,514ドル |
韓国 | 4万1,960ドル |
米国 | 6万9,391ドル |
ドイツ | 5万3,744ドル |
フランス | 4万5,580ドル |
英国 | 4万7,147ドル |
イタリア | 3万7,769ドル |
このように、日本の平均賃金は、イタリアを除けば、ここに挙げたどの国よりも低くなっている。
トップは米国だが、それに比べると55.5%でしかない。
問題は「賃金水準の低さ」と「賃金上昇率の停滞」
上に見たのは2020年の計数であるが、日本のもう1つの問題は、時間的に見て賃金上昇率が低いことだ。2000年における各国の値は、次の通りだ。
2000年の平均賃金の国際比較 | |
国 | 平均賃金 |
日本 | 3万8,364ドル |
韓国 | 2万9,237ドル |
米国 | 5万5,365ドル |
ドイツ | 4万5,583ドル |
フランス | 3万8,782ドル |
英国 | 4万206ドル |
イタリア | 3万9,175ドル |
これと2020年の数字を比較すると、イタリアの数字は低下しているが、他の国は著しい上昇になっている。それに対して、日本はこの20年間でほとんど横ばいだ。
このため、2000年には日本より低かった韓国に抜かれてしまった。また、2000年には日本はフランスとほぼ同水準だったが、2020年にはかなりの差がついた。その他の国との乖離も、拡大している。
日本の国際的な地位は、この20年間で低下したことになる。このように、日本の場合、単に現在の賃金水準が低いというだけでなく、賃金が上昇していないという問題があるのだ。
なぜこうした問題が生じているのかを、考える必要がある。
【次ページ】日本の賃金が上がらない「最大の原因」とは
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