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  • 2022/04/12 掲載

「ステーブルコイン決済」は実現する? 2022年「資金決済法等改正案」のポイントとは

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金融庁は2022年3月4日、「資金決済法などの改正案(安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律などの一部を改正する法律案)」を国会に提出した。今回の改正案では、金融のデジタル化などに対応し、安定的かつ効率的な資金決済制度の構築の必要性から「ステーブルコイン」の規制導入などの項目が盛り込まれた。今回の法改正が施行されると、ステーブルコインが決済や送金などの電子決済に利用可能になる。本記事では、今回の改正案のポイントや規制対象であるステーブルコインの今後の展開を解説する。
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2022年「資金決済法等改正案」のポイントとは
(Photo/Getty Images)

そもそも「ステーブルコイン」とは何か?

 ステーブルコインとは「安定的(ステーブル)」になるよう設計されたデジタル通貨を指す。特に価格安定を前提とする特性から、デジタル世界における新しい基軸通貨としての普及が期待されている。

 金融庁は、ステーブルコインを「特定の資産と関連して価値の安定を目的とするデジタルアセットで分散台帳技術(またはこれと類似の技術)を用いているもの」と定義する。また、「デジタルマネー類似型」と「暗号資産型」の2種に分類している。

 デジタルマネー類似型とは、法定通貨の価値と連動した価格(例:1コイン=1円)で発行され、発行価格と同額で償還を約するもの(およびこれに準ずるもの)を指す。デジタルマネー類似型ステーブルコインは送金や決済などの電子決済手段とみなされ、今回の改正の新たな規制対象となる。

 一方、暗号資産型とは、ビットコインやイーサリアムなどのコンピューターアルゴリズムで価値の安定を試みるものを指す。今回は規制対象外となる。

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金融庁が定義するステーブルコインの2分類
(出典:金融庁「安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律などの一部を改正する法律案説明資料」2022年3月)

改正法案における3つの注目ポイント

 ここからは、今回の改正法案の概要を解説する。同法案のポイントは「電子決済手段などへの対応」「銀行などによる取引モニタリングなどの共同化への対応」「高額電子移転可能型前払式支払手段への対応」の3点だ。

 海外ではステーブルコインの発行・流通量が増加する一方で、これまでの日本の法律では、法的な枠組みが存在しなかった。暗号資産(仮想通貨)の交換事業者は、ステーブルコインを扱うことができなかったのだ。

 電子決済手段などへの対応として、今回注目されるのは「電子決済手段など取引業などの創設」だ。投資家などの利用者保護を確保するとともに、ステーブルコインの発行者(銀行・資金移動業者など)と利用者の間に立ち、ステーブルコインの移動や管理を行う仲介者を登録制で導入する。

 これにより、登録事業者は、ステーブルコインが決済や送金などの電子決済を使えるようになる。また、銀行や資金移動業者と同様の監督が実施され、これまでの厳しい銀行規制に準じるルールが事業者に課される。

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今回の改正法案の概要
(出典:金融庁「安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律などの一部を改正する法律案説明資料」2022年3月)

三菱UFJ信託銀行、DCJPYなど法改正を見据えた国内の動向

 今回の法改正でステーブルコインへの規制が正式に導入されれば、国内における事業者の参入も期待される。

 たとえば、三菱UFJ信託銀行は2022年2月9日、ステーブルコインの発行・管理基盤である「Progmat Coin(プログマコイン)」を、新法制施行時期と合わせた発行を目指すと公表した。

 Progmat Coinは、「デジタルアセット領域におけるユニバーサルな資金決済手段を提供すること」を目標とする。1円に付き、1プログマコインで交換可能となる予定だ。また、セキュリティトークン、NFTや暗号資産についてもブロックチェーン上での即時グロス決済の対象にする。さらに、中央銀行デジタル通貨(CBDC)や他の民間デジタル通貨などの決済手段とのシームレスに交換可能な仕組みを整備していくという。

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「Progmat Coin」のコンセプト
(※ST:セキュリティトークン、SC:ステーブルコイン)
(出典:三菱UFJ信託銀行「報道発表資料」2022年2月)

 その他にも、広範な事業者のネットワーク直接参加を想定し、Progmat Coinにはステーブルコイン発行用信託の受託者向け機能を提供する計画だ。

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「Progmat Coin」のスキームイメージ
(出典:三菱UFJ信託銀行「報道発表資料」2022年2月)


【次ページ】海外の事業者も含めた競争環境の激化も
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