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  • 2021/11/30 掲載

静岡銀行頭取が語る金融DX、地銀が成長を続けるための“顧客データ基盤”とは

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静岡銀行はこの10年、粛々と業務効率化に挑んでおり、その延長線のDXに挑んでいる。静岡銀行 代表取締役頭取 全国地方銀行協会会長 柴田 久氏、Treasure Data 取締役会長 芳川 裕誠氏らが静岡銀行が現在進めているDXの取り組みの背景や将来展望、さらには海外における地域金融機関のDX動向などについて意見を交わした。
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静岡銀行10年間の歩みから読み解く、地方銀行に求められるデジタル戦略
※本記事は、日本経済新聞が2021年9~10月に主催した金融DXサミット「Financial DX/SUM」の講演内容を基に再構成したものです。

静岡銀行が現在進めるDXの背景と目指す将来像

 三大地銀の一角を占め、「地銀の雄」としてその動向が常に注目を集める静岡銀行。近年ではデジタル戦略や異業種連携、ベンチャービジネスへの進出などの施策が話題を集めているが、同行 柴田久氏によればこうした取り組みは決して最近になって突然始めたものではなく、これまで長年に渡って段階的に進めてきた業務プロセス改革の成果の上に成り立っているのだという。

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業務プロセス改革の歴史

「2005年に始まった第9次中期経営計画から今日に至るまで、生産性向上とビジネスモデルの変革を目指して段階的に業務プロセス改革を進めてきました。まずはバックヤード業務の効率化に着手し、次にフロント業務の効率化、そして2017年に始まった第13次中期経営計画では『収益・チャネル・人の3つの構造改革』を掲げて働き方改革や業務担い手変更などにも取り組んできました」(柴田氏)

 そして2020年からスタートした第14次中期経営計画では、DXによるビジネスモデルの変革を標榜している。その前提として、これまで長年に渡って利用し続けてきたメインフレームの基幹システムのオープン化に取り組み、2021年1月に次世代勘定系システムとして稼働をスタートさせている。

 この新たなIT基盤を活用しながら、現在同行では「非対面チャネルの強化」「法人取引先のチャネル拡充」「グループ一体でのデータ活用」「集中部署業務のデジタル化」「デジタル人財の育成」という5つの重点分野を中心にDX戦略を推進している。

 このうち「非対面チャネルの強化」と「法人取引先のチャネル拡充」については、顧客ニーズを起点に「いつでも」「どこでも」「どんなことでも」相談・対応可能なチャネルネットワークの構築を目指している。

 具体的には、コンサルティングやライフプランに関わる相談は従来通りフルバンク店舗で対応する。一方、通常取引やローンの相談などはスマホアプリや法人ポータルで、そしてもっと気軽な相談についてはコンタクトセンターやデジタル店舗で受け付ける。顧客の多様なニーズに応じて最適なチャネルを通じて課題解決を提供できる体制を目指しているのだ。

 また異業種企業との連携を通じた新たなビジネスや顧客価値の創出にも取り組んでおり、2014年のマネックスグループとの資本業務提携を皮切りに、規制緩和に伴う銀証連携やフィンテック企業との連携、ベンチャー企業とのネットワーク構築などを通じて事業領域とサービス内容の拡充を進めてきた。

 ベンチャー企業との協業については、複数のベンチャーファンドへの出資を通じて現在282社のベンチャー企業へ出資するほか、2021年6月にはベンチャービジネスプロジェクトチームを社内で立ち上げた。

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静岡銀行 代表取締役頭取 全国地方銀行協会会長 柴田 久氏

「こうしたベンチャービジネスへの取り組みを通じて得た知見やノウハウを自行のDX施策に生かしていくのはもちろんのこと、その成果を地域に還元しながら『地域イノベーションエコシステム』の構築につなげていきたいと考えています」(柴田氏)

地域の独自性を生かして成長を遂げる米国の地域金融機関

 こうした静岡銀行の取り組みを筆頭に、現在では国内金融機関のDX事例が数多く公表されるようになった。

 しかし金融業界には依然として多くの規制が存在することもあり、全体としてみると国内金融機関は海外の金融機関と比べて、DXの取り組みが遅れているという印象が否めない。

 長年米国シリコンバレーに滞在し、現地金融機関のデジタル戦略にも詳しいTreasure Data 芳川 裕誠氏によれば、米国では現在さまざまなプレイヤーが金融市場に参入し、互いにシェアを奪い合っている状況だという。

「わかりやすい例を挙げれば、いわゆるGAFAに代表されるメガITベンダーが、これまで顧客とのデジタル接点を通じて取得してきた膨大な量のデータを使って個人向けの与信サービスなどを始めています。こうした異業種からの参入組だけでなく、『チャレンジャーバンク』と呼ばれる新興の金融機関が、やはりテクノロジーを武器に急速に台頭してきています」(芳川氏)

 また近年では歴史の古い伝統的な金融機関もデジタル戦略を積極的に推進しており、たとえばゴールドマンサックスが設立したオンライン銀行「Marcus(マーカス)」は現在急速に預金量を伸ばしているという。

  【次ページ】金融DXを推進していく上で鍵を握るテクノロジー「CDP」
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