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- 2021/09/23 掲載
改正された「男性版育休」とは?最大4週間、確認義務化など企業が知っておくべき要点
「男性版育休」とは何か?
働き方に関するニュースの中で、今年から話題になっているのが「男性版育休」だ。「男性版育休」とは6月に成立した、いわゆる「育児・介護休業法」の改正内容が、男性社員の育児休業取得推進が中心となっているため、こう呼ばれている。男性の育休を充実させ、取りやすくさせる今回の法改正が行われる背景には、主要先進国と比較した場合の男性の育休取得率の低さがある。7月に厚生労働省が発表した2020年度の調査結果が過去最高だそうだが、それでも12.65%にとどまる。
このようにまだまだ男性の育休取得が浸透していない状況があるため、今回の法改正によって職場に影響の出る企業も少なくないだろうと思われる。
もちろん、男女ともに産休・育休、そして介護休業の取得は法制度で認められたものであるため、企業はそれに従って対応する必要がある。しかし、これまで男性社員の育休取得がなかった職場では、経営者や人事担当、同僚、そして取得する本人も、不安があるだろう。
もはや育休は、当事者のパパ・ママ社員だけでなく、すべての働き手が考えるべきものとなっていると言える。今回は、育児・介護休業法の改正内容だけでなく、同僚など周囲や企業はどのようなことに注意し、どんな準備をすべきかについても述べていきたい。
育休の法制度そのものを知らない人も多い
ところで、そもそも育児・介護休業法とは、どんな法律なのか。育児・介護休業法自体は、30年前の1991年に育児休業の法律が成立しており、正式名称を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」という。文字通り、育児休業と介護休業について定めているだけでなく、子の養育や家族の介護に関する様々な支援についても定めている。
来年度以降施行される改正内容については改めて説明するとして、まず現状の育児・介護休業法の基本的な内容を述べると、まず前提として育児休業も介護休業も法律で定められた制度であり、男女を問わず該当する社員から申請があった場合、企業はこれを拒むことはできないというものだ。
就業規則など社内規定に育休や介護休業の規定がなくても、該当する社員は関係なく申請でき、もし、企業が拒否した場合や、社員に嫌がらせなど不利益な扱いをした場合には、厚労相からの助言・指導・勧告や企業名の公表、さらには20万円以下の罰金など、罰則が定められている。
経営者や人事担当以外の上司や同僚、部下であっても、育休を取ることに嫌味を言ったり、育休に関連する配慮を妬んだりなどした場合は、ハラスメントに該当する可能性がある。育休に関するハラスメントの防止も企業の義務になっており、野放しにできない。当事者以外も含めたすべての従業員に、育児・介護休業法が影響することがご理解いただけただろうか。
ちなみに育児休業の上限は、女性が産後8週間の産後休業を含めて1年間、男性は1年間となっている。保育園に入所できない場合など、延長もできる。
また、育休中に給料が支払われない場合は、育児休業給付金が支給される、社会保険料の免除、住民税の猶予などがあるといった育休中の支援内容や、子の看護休暇を取得できる、時間外労働を制限できる、深夜労働を制限できる、所定外労働を制限できるといった、小学校就学前の子を育てる親への支援も、育児・介護休業法には盛り込まれている。
一方、介護休業も該当する社員から申請があった場合、企業は拒否できないし、解雇など不利益を与えてはいけない。介護休業の期間は、対象となる家族1人につき、上限3回まで分割し、通算93日間までとなっている。
介護休業の対象となる家族は、社員の配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫となっている。こうした家族が2週間以上にわたり常時介護を必要になった場合、介護休業が認められる。
介護休業に関しても育児休業同様、企業の給料がストップする場合に公的に給付される介護休業給付金があり、時間外労働や深夜労働の制限・免除なども同様に定められている。
このように育児・介護休業法では、実は各種の支援内容と権利が労働者に認められているが、当事者となる社員も同僚も、経営者もそれを十分に知らないことで、トラブルや軋轢が生じることが少なくない。
育児休業や介護休業の制度を十分に整備しておらず、想定していない企業では、もし社員が急に最大限の制度活用を希望した場合、事業運営体制に与える影響も深刻になる。
だからと言って育休の申請を拒否したり、不利益を与えてしまったりしては法に反することとなる。主に経営者が前もって、育児休業・介護休業の申請があることを想定し、準備しておく必要があるだろう。
【次ページ】改正育児・介護休業法、5つの変更点
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