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- 2021/06/03 掲載
日本総研 翁百合理事長に聞く、「金融DX」の2大成功要因とは
コロナで進んだフィンテック、胎動はコロナ以前から
──新型コロナウイルス感染拡大の問題から1年以上経ちますが、この間の個人および企業のフィンテックへの意識はどのように変わったでしょうか?翁 百合氏(以下、翁氏):コロナ禍で対面でのサービスが難しくなり、非対面の対応が強制されるようになりました。
それに伴い、個人ではキャッシュレスへの意識が高まっています。この動きはコロナ以前から拡大していた政府の成長戦略のポイント還元やスマホ決済サービスの潮流がさらに加速した格好です。
正念場を迎える地方銀行の生き残り方
──環境の変化が激しいという現状に対し、体力の少ない地方銀行はどのように対応すべきでしょうか。翁氏:金融機関はまさに端境期にいますが、特に厳しいのが地方銀行です。地方銀行は、もともと人口減少や低金利で融資による利ザヤが稼げないところに、法人顧客の多くがコロナ禍で業績悪化しています。
ですが今、まさに地方銀行こそが地域を支えなければならないという考えのもと、地方銀行をサポートするさまざまな規制緩和が進み、さまざまな事業が可能になります。人材紹介事業への参入が認められ、子会社や兄弟会社を使えば、さらにビジネスの幅は広がります。地方創生に向けたコンサルティングや人材ビジネス、顧客企業向けIT(情報技術)導入支援など、地域の企業を支える多様なビジネスが可能になるのです。
あわせて出資規制も緩和され、ビジネスモデル転換支援など、地域活性化を目指す企業には投資子会社を通じて出資規制緩和が認められました。出資を通じて企業の経営改善などをテコ入れしやすいようにするのが目的です。
また、政府は地方銀行の経営統合も促しています。合併や経営統合を目指す地方銀行などを対象に一定条件を満たせば預金保険機構の資金を交付します。合併に二の足を踏む要因の1つとなっていたシステム統合費用などの巨額の負担を軽くし、再編を検討する経営陣の背中を押すものです。
さらに金融庁は公正取引委員会に働きかけ、地方銀行を向こう10年間、独占禁止法の対象外としました。地域に欠かせないインフラとして機能を維持できるよう体力を高めてもらう狙いです。
日銀が3月に出した「わが国の銀行におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)」では、経営統合をDX推進の1つの有力な選択肢としています。決して統合だけが解決策ではありませんが、DXを進めていくと固定費がかかります。そのためには、経営基盤をしっかりしておくことが大前提なので、規模の経済が働く、ある一定の規模の統合は効果がある場合があると思っています。
【次ページ】地方銀行の変革、参考にすべき先行者とは
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