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- 2020/10/23 掲載
「単なるデジタル化はDXとは言えない」、北國銀行が語る「金融DX実現への道のり」
北國銀行が考えるDXとは?
石川県を中心に北陸三県を軸として事業を展開する北國銀行は、デジタルトランスフォーメーション(DX)により、企業変革を進めている金融機関の内の一社だ。同社では5~6年ほど前から、顧客目線、顧客のためになる資産運用ビジネスのあり方をあらためて議論し、その運用方法を変えてきた経緯がある。特に投資信託の平均保有期間が長期化させることで、積立取引の顧客が増やすことにつなげているという。
北國銀行の企業理念は「豊かな明日へ、信頼の架け橋を」キーワードに、ふれあいの輪を拡げ、地域と共に豊かな未来を築くこと」だ。同行の中期経営計画(2018年4月~2024年3月)では、「コミュニケーション×コラボレーション×イノベーション 2024」をテーマに掲げている。フィンテック企業を含むパートナー企業とのコミュニケーション、コラボレーションを積極的に行い、お互いの強み・弱みを補完することで、イノベーションを生み出ししていきたいという思いが込められているという。
北國銀行 マーケティング部 資産運用課 課長の福田 雅之氏は「今後は、顧客の百人百様のニーズに応えていかなければならない。その実現はデジタルの力なしでは難しいと考えている」と語る。さらに同氏は「デジタル活用で迅速かつ低コストかつ高いサービスレベルで実現していきたい」との方針を明かし、その実現には「金融サービスとDXとの融合は必須である」と説明する。
北國銀行が進めてきたデジタル変革の道のり
北國銀行では「次世代版地域総合会社」を目指している。そのためには、DX戦略、システム戦略への注力が必要不可欠だと認識しているという。福田氏は「北國銀行が考えるDXとは、単なるテクノロジーの活用だけではなく、意思決定プロセスや権限、判断基準、組織文化など、銀行そのものをデジタルで根本的に変えていくことだ」と説明する。同行では20年以上前から時代の変化適切に対応するため、さまざまな施策を展開してきた。2000年以降、提供サービスの強化と効率的な業務運営を実施するべく、エリア営業体制の導入と店舗の統廃合を開始した。本部組織体制の集約化やペーパレス化を伴う必要書類の削減などを進めてきた。さらに2000年代前半から行員1人1台のノートPCを配備し、融資時の社内向け稟議書の電子化などを実施してきた。
また、行内において「生産性の向上」「働き方改革」をキーワードにデジタル化を推進。2011年にはグループウェア基盤「POWER EGG」を導入し、2013年にはマイクロソフトとの協業を通じ、タブレット型PC「Microsoft Surface」を導入するなどIT基盤の構築を進めてきた。
福田氏は「当行におけるデジタル化では、グループウェアとSurfaceの導入が重要なポイントになった」と振り返る。すでに社内のペーパレス化、ハンコレス化をその時期に実現していたという。また、昨今話題のリモートワークについても「この頃からやろうと思えばできる環境にあった」と語る。
北國銀行では2014年に本店ビルを新築移転し、より生産性の高い、コミュニケーションやコラボレーションなどを促すようなレイアウトのオフィス環境を整えている。さらに2016年にはクラウド会計ソフト「freee(フリー)」のfreeeと、2019年にはロボアドバイザーのウェルスナビと業務提携し、デジタル化を着実に進めている。
【次ページ】ビジネスモデル変革の目的
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