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- 2020/05/25 掲載
コロナ自粛での読書術、早く集中して読むための3つのポイント
連載:大杉潤の「人生100年」時代のキャリア相談所
【大杉潤への相談内容】
新卒で大手保険会社に入り、4年目になります。新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言や外出自粛により生活パターンが大きく変わり、自宅で過ごす時間が格段に長くなりました。
たとえ緊急事態宣言が解除されても、積極的に外出する状況にはなりませんし、自宅にいる時間をできるだけ有効に活用して今後のキャリアアップに必要となる知識やスキルを身につけられるビジネス書をしっかり読み込んで、勉強しておきたいと考えています。
ただ、私は本を読む速度があまり速いほうではなく、1冊読み切るのにとても時間がかかったり、途中で挫折したりすることもよくあります。どうすれば読書に集中し、速読することができるようになるでしょうか。集中力の問題かもしれませんが、読み始めるとどうしても眠くなってしまいます。
大杉さんは、新入社員の頃から年間300冊のビジネス書を38年間読み続けてきたと聞きました。どうすれば、そんなに早く本を読めるようになるのか、また集中力を継続して読書ができるのか、その方法を教えてください。また、読むべき本をどう選べばいいかも、ぜひアドバイスして欲しいです。
【大杉潤の答え】
これを逆にチャンスと捉え、集中的なビジネス書の読破で実力を養いたい、という坂本さんの発想は素晴らしいと思います。
私は新入社員の頃からビジネス書の多読によってキャリアを切り拓いてきましたので、その有効性は本当に良く分かっていますし、間違いなく、坂本さんのキャリアに大きなプラスになると申し上げたいです。
速読には「本を読む前の準備」が大切
さて、ビジネス書を速読する方法ですが、次の3つの時系列で説明していきます。- 本を読む前の準備
- 本の読み方
- 本を読んだ後の行動
この中で何と言っても決定的に大切なのは、最初にある「本を読む前の準備」です。皆さん、「速読法」というと、2番目の「本の読み方」だけを学ぼうとしていませんか? それだとだいたいうまくいきません。それは、その前に必要な「準備」がまったくできていないからです。
では「本を読む前の準備」とは何でしょうか。ポイントは以下の3点です。
- 本を読む目的を明確にする
- 特に知りたい知識や概念のキーワードを設定する
- 本を読んだ後に自分がどうしたい、どうなりたいというイメージを持つ
最初にある「本を読む目的」とは、ずばり、自分はその本から何を知りたいのか、得たいのか、学びたいのかということ。できれば、自分の人生の目的やキャリアの目標と直結する目的がいいでしょう。
自分の人生に関係ない内容の本だと、たとえ立派な人から推薦された本でも興味が湧かないでしょう。私もよく「大杉さん、どんな本がお薦めですか?」と漠然と聞かれることがありますが、万人に役立つ推薦書などありません。一人ひとり人生の目的や目標、興味関心は違いますから。
したがって、自分が今、最も興味・関心があり、「読みたい」と心から思う本から読んでいくのが、速読するために最も大事なポイントです。なぜなら、その本から速く学びたい、と思うわけですから。
この「読みたい」という感情、あるいは知的好奇心が読書のベースです。読みたい本は誰でも速く読みます。
次に2つ目のポイント、知識や概念のキーワード設定ですが、その知りたい、学びたいという内容を「見える化」することです。たとえば、次々に出版されている新型コロナウイルス感染症について知りたいとなると、次のようなキーワードでしょうか?
- ウイルスと細菌のちがい
- 人類の感染症との闘いの歴史
- 新型コロナウイルスが世界経済に与える影響
- 新型コロナ後の世界秩序
- 新型コロナ後の生活様式
- 新型コロナ後のビジネスモデルの変化
実際に私は上記のキーワードで、自宅にいる時間を使って、新型コロナ後の世界やビジネスを予測し、その備えをしています。坂本さんも自分が最も興味・関心あるテーマを見える化し、キーワードとして設定してみてください。
3番目のポイントですが、本を読んだ後に自分が何をしたいのかをイメージして読む、ということです。私はこれを「アウトプットを前提としたインプット」と呼んでいます。つまり、読み終わって「あ~面白かった。勉強になった。」だけでは意味がないということです。
ビジネス書は趣味のように読みあさる人も多くいますが、実践しないともったいないし、たぶん読んだ内容をすぐに忘れてしまいます。昔の私自身がそうでした。1万冊のビジネス書を読んだと言いますが、実は内容を覚えているのは、毎日ブログに書評をアウトプットした最近の7年くらいに読んだ約2,400冊がほとんどです。
アウトプットは何もブログに書評を書くことではなく、ビジネス書で学んだことを実践してみる、うまくいかなかったらまた別の本に答えを見つけに行く。また試して評価して修正して、というPDCAサイクルを回すことでも構いません。
ですからぜひ、アウトプット(行動)を前提として読んでみてください。
【次ページ】6つのステップで実現する速読法
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