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  • 2019/10/25 掲載

「国際金融都市 東京」はどうすれば実現できる?FinCity.Tokyo有友圭一専務理事に聞く

新連載:キャスター鈴木ともみの日本橋・兜町レポート

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2019年4月、東京が世界に冠たる国際金融都市になることを目指して、官民連携で各種プロモーションに取り組む組織、一般社団法人東京国際金融機構(通称:FinCity.Tokyo)が設立された。東京は一体どのような国際金融都市を目指し、そこにはどのような意図があるのか。また東京は他の国際金融都市から何を学ぶべきなのか。同組織で専務理事を務める 有友圭一氏に話を聞いた。
聞き手:キャスター鈴木ともみ、構成:吉田育代

聞き手:キャスター鈴木ともみ、構成:吉田育代

キャスター 鈴木ともみ
経済キャスター、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員、日本記者クラブ会員記者、FP。埼玉大学経済経営系大学院を修了し経済学修士を取得。TV、ラジオ、各種シンポジウムへの出演の他、雑誌やニュースサイトにてコラムを連載中。国内外の政治家、企業経営者、金融・マーケット関係者等へのインタビュー多数。STOCKVOICE TV『Tokyo Financial Street』のキャスターを務めている。

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一般社団法人東京国際金融機構(FinCity.Tokyo) 専務理事 有友圭一氏

東京を国際金融都市にするために立ち上がったFinCity Tokyo

鈴木氏:有友さんが専務理事を務めておられるFinCity.Tokyoとはどのような組織なのでしょうか。

有友氏:FinCity.Tokyoというのは、東京という都市の金融市場としての魅力を高め、世界トップクラスの国際金融都市に発展させるということをミッションとして、2019年4月に立ち上がったばかりの半官半民の組織です。正会員に、銀行や証券会社といった金融機関や業界団体の他、東京都が参加しているのが大きな特徴です。

 主な活動として、国際的な金融機関やフィンテック企業に東京をアピールすること、またそうした組織が日本に参加しやすいよう支援すること、他の世界的な金融都市との競争力を高めつつ東京の金融エコシステムをアップグレードすること、東京の金融市場参加者を代表して政策提言をすることなどがあります。

 また、業界を代表する立場で、日本における金融業界の課題を明らかにし、それを世の中に広く知っていただくということも重要だと考えています。

日本の資産運用会社の能力を高める

鈴木氏:なぜ今、東京は国際金融都市を目指しているのでしょうか。

有友氏:実は、東京が国際金融都市を目指すのは、今回が初めてではありません。実は5回目で、過去4回は失敗しているのです。

 なぜこれまで失敗したかというと、目的が金融業界、またそれに関連する業界の利潤追求にあったからです。漠然と金融都市として発展したほうがもっと儲かるんじゃないかとか、あるいはディベロッパーの、ビルを作れば羽振りのいい金融機関がテナントとして入ってくれるんじゃないか、そういった思惑で始まった箱物中心の発想だったので“笛吹けど踊らず”になってしまいました。

 しかし、今回は都民・国民のためなんです。東京の話なら都民だけだろうと思われるかもしれませんが、これは日本全体に関係ある話です。

 日本銀行によると、今、わが国には1,860兆円の金融資産があるといわれ、そのうち990兆円が現・預金として眠っています。そのうち、第一生命経済研究所の調査によると、タンス預金は50兆円以上あると言われています。

 これの状況について日本最大級の資産運用会社である資産運用会社の運用額よりも大きいので、レオス・キャピタルワークスの藤野英人氏などは「日本の大手資産運用会社はタンスより投資家にとって価値が無い」といったりしています。この眠れる資産を何とか意味ある形で生かさなければなりません。

 また、日本は年金制度にも問題があります。今の年金制度というのは、戦後、日本人男性の平均寿命が75歳で、65歳まで終身雇用で働けた時代に作られたものです。

 ですから10年間の生活をカバーできればいいという前提で設計されました。しかも高度成長期だったので、年金も二けたのリターンが出せた時代でした。しかし、今は100歳ぐらいまで長生きしてしまうし、市場全体のリターンが高くなく、金利もつきませんから、年金のリターンが高いわけありません。


 ここで東京がなぜ国際金融都市を目指しているのかというところに戻るのですが、これは東京という都市に力点があるのではなく、日本の資産運用会社の、その運用能力高度化を目指すために掲げる“看板”なのです。

 国際金融都市を名乗ろうというからには下手なことはしていられません。これを機に運用能力の高度化を実現して、たとえば、眠れる資産を安心して投資などに振り向けてもらえるようにしたり、致命的な問題を抱える年金制度を支援しようという取り組みなんです。

 “日本の資産運用業界に力がない”というのは、金融庁や東京都など、“官”を交えた業界の有識者会談でも認識が一致しています。

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