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  • 2020/01/17 掲載

【調査】ブロックチェーン技術への投資予定額は? 貿易金融にみる活用事例の詳細

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2009年にビットコインの発行が開始され、今年で10年となる。ビットコインの発展とともに基幹技術であるブロックチェーンにも注目が集まるようになり、近年ではさまざまな業界において同技術導入の取り組みが行われている。ブロックチェーン技術は、その特性から金融サービスとの親和性が高く、実用化が期待される分野のひとつである。本稿では、現在の金融業界におけるブロックチェーン技術の活用の現状と今後の展望について考察する。
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ビットコイン発行から10年が過ぎた
(Photo/Getty Images)

 デロイトによる世界のエグゼクティブ1,053名を対象としたブロックチェーンに関するリサーチ「デロイト グローバル ブロックチェーンサーベイ2018」によると、回答者の40%がブロックチェーン技術を戦略プライオリティのトップ5の1つと位置付けている。

 また、回答者の39%の企業が調査時点の翌年において、ブロックチェーンに対して500万ドル(約5.5億円)以上の投資を予定しており、中でも金融業界においては、回答者の39%は500万ドル超を、16%は1,000万ドル(約11億円)超を投資予定であり、非常に高い関心を示していることが見てとれる。

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デロイト グローバル ブロックチェーンサーベイ2018 調査結果

 金融業界における非常に高い関心が裏付けられるように、ブロックチェーンは以下の特徴から金融サービスとの親和性が非常に高い技術であるといえる。

ブロックチェーンの特徴

 ブロックチェーンの特徴を一言で表すと、複数のステークホルダー間における取引等の「情報の完全性」をシステム自体が保証できる点にある。ここでいう「情報の完全性」とは、その情報が正確かつ真正なものであり、他の情報と一貫していることをいう。

 複数のステークホルダーによる取引においては両者の利害が対立することから情報の改ざんリスクがあり、また、そもそも取引相手が信頼に足る相手なのかを検証する必要が生じる。

 加えて、取引に手作業や紙面の郵送などのマニュアル作業が介在することで誤謬(ごびゅう)が生じる恐れがあり、取引の遅延にもつながる。

 ブロックチェーン技術を利用することでそのような情報の改ざんや誤謬を回避することができ、また、取引の迅速化が期待される。

ブロックチェーンを支える技術

 ブロックチェーンを支える技術について、ここでは上記の特徴との関連性の観点から以下の3点を説明する。

ハッシュ関数
 ハッシュ関数とは、入力された情報を一定の長さの文字列等に変換する関数であり、ハッシュ関数により求められた文字列等のことをハッシュ値という。ブロックチェーンにおいて用いられるハッシュ関数には以下の特徴がある。

  • ハッシュ値から元の入力値を求めることはできない
  • 入力値が少しでも異なる場合、まったく異なる文字列等に変換される
  • 入力された情報の大小に関わらず、常に一定の長さの文字列等に変換される

 この特徴によって、ブロックチェーン上でのトランザクションの記録およびブロックの形成において一連の取引がすべて数珠つなぎのように記録され、情報が不可逆性を持つため、過去の記録を遡って改ざんすることを困難にし、また、改ざんの検出を容易に可能にしている。

公開鍵暗号方式
 公開鍵暗号方式とは、公開鍵でデータを暗号化し、秘密鍵でその復元を行う署名アルゴリズムである。この暗号方式を用いてデータの送受信を行う場合、データ送信者は、あらかじめ公開されているデータ受信者の公開鍵を使用し暗号化した上でデータ受信者へ送信する。

 一度暗号化されたデータは、データ受信者のみが持つ秘密鍵を使用しなければ復元することができないため、他のネットワークの参加者にデータの内容が知られることなくデータの送受信が可能となっている。

デジタル署名
 デジタル署名とは、ハッシュ関数と公開鍵暗号方式の技術を用いて、あるデータが本人により作成され、改ざんされていないことを証明する技術である。デジタル署名を用いたデータの送受信の流れを示したのが以下の図である。

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デジタル署名の仕組み

 デジタル署名は、不可逆性というハッシュ関数の特徴と、秘密鍵で暗号化したデータを公開鍵で復元可能である公開鍵暗号方式の特徴を生かして本人認証のために使用されており、ブロックチェーンにおいて真正な者がトランザクションを作成したことを証明するものである。

【次ページ】なぜ金融機関においてブロックチェーンの活用が期待されるのか
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