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- 2024/07/08 掲載
復活したいPC市場「中途半端なAI機能」に価値は?半導体がしのぎ削る「AI PC」の中身
声高に叫ばれる「PCの復権」、背景に「生成AI」搭載
6月4~7日に台湾で開催されたアジア最大のIT見本市「COMPUTEX TAIPEI」で最もよく聞かれた言葉の1つが「PCの復権」だった。そもそも、PCという概念が広がったのは1980年代。COMPUTEXは1981年に開幕した。
COMPUTEXでも1980年代はPCそのものがテーマとなったが、1990年代から2000年にかけてはインターネット、さらに2015年まではモバイルソーシャルクラウドデータが中心となり、メインテーマはグローバルICT、サプライチェーンプラットフォームなどにシフトした。
その後、2016年から2022年にかけてはIoTが台頭し、そして2023年以降は「生成AI」ブームが到来。今回のCOMPUTEXでも「AIエコシステムプラットフォーム」が共通テーマとなった。
AMD、クアルコム、インテルなどが消費者向けチップの速度を競い合うような基調演説を続けたのも、生成AIを搭載した新型PCが順次発表されるのを前に、本格的な「PCの復権」を見越してのことだ。
背景にあるのは、コロナ禍によりリモートワークなどが進み、一度は盛り返したPC業界だが、その後は落ち込みが続いているという市場の動きだ。
数字で歴然、好調「スマホ」と生成AIで盛り返したい「PC」
英マーケットリサーチ会社Canalysによると、2023年Q3の世界のPC出荷台数は6560万台で、前年同期比で7%の下落。ただし同年Q2と比較すると8%増となった。一方でスマートフォン市場は堅調で、2024年Q1には前年同月比で11%増となった。こちらも2021年Q1をピークに世界的なマイクロ経済の停滞、インフレなどにより数字は落ち込んでいたが、PCよりも落ち込み幅は少なく回復時期も早い。
この裏側には、特に2023年、生成AIを使ったアプリがまずスマホ上で展開され、人気を呼んだことも大きいと見られている。
つまり、まずはスマホで広がった生成AIの利用が、いよいよPC上で本格的に始まることにより、PCの復権が見込まれるという。
それを象徴するかのように、今回のCOMPUTEXの基調演説に最多で登場したのが、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOだった。 【次ページ】「時代のキーパーソン」マイクロソフトのナデラCEOは何を語ったか
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