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  • 2021/05/20

フランスで「ネオバンク」はなぜNG? 海外デジタルバンク動向まとめ

連載:小俣修一のデジタルバンキング・マンスリーレポート

デジタルバンク関連では、「ネオバンク」「チャレンジャーバンク」「伝統的金融機関のデジタルバンク化」という3領域の報道が続いている。本稿では、これらの報道とともに、各領域の銀行やフィンテック企業の現状をまとめた。日本の金融機関がどんな対応を検討すべきかが、海外金融機関の動向から見えてくる。

小俣 修一

小俣 修一

1979年、慶大大学院修了。 地域金融機関の企画部門に勤務後、コンパックコンピュータ、NTTソフトウェアを経て2005年アカマイ・テクノロジーズ社長、米国本社ヴァイスプレジデント、日本法人会長を歴任。16年ニッキン特別顧問、20年12月みんなの銀行社外取締役に就任。欧米のデジタル・バンキングの事情に精通。国内の金融機関からデジタル戦略をテーマに、数多くセミナー依頼を受ける。

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海外の「ネオバンク」「チャレンジャーバンク」「伝統的金融機関のデジタルバンク化」の現状とは
(Photo/Getty Images)

2021年4月の「デジタルバンキング」海外ニュース

 4月は、暗号資産(仮想通貨)関連のニュースが特に目立った。デジタルバンク関連では、仏中央銀行の「ネオバンク」という言葉の使用に対する警告ニュースがあり、北國銀行がパブリッククラウド(PaaS)であるMicrosoft Azureへのシステム完全移行を計画し、みんなの銀行が一般開業を予定することが報じられた。

2021年4月に筆者が注目した「デジタルバンキング」関連ニュース
日付 ニュース内容
4月5日 オーバーシーズフィリピーノ銀行(OF Bank)、フィリピン最初のデジタルバンク免許を取得
4月6日 英チャレンジャーバンクのタンデム銀行(Tandem Bank)、クラウド勘定系「MAMBU」に移行。システム・カットオーバー
4月7日 フィデリティ証券、モバイル決済のスクエア、仮想通貨取引所コインベース(Fidelity・Square・Coinbase)が仮想通貨の業界団体設立
スウェーデン中央銀行、デジタル通貨の初期研究成果を公開
4月8日 シティグループ(Citi)、 米州開発銀行とブロックチェーンを使った国際間送金の実験で組む
マネーアプリの英ジグルー(Ziglu)、利息付ビットコイン口座を開設
豪フィンテック企業アフターペイ(AfterPay)、埋込型金融(embedded finance)で国際決済のアディエン(Adyen)と組みBNPL(後払い)サービスを世界展開へ
4月12日 仏中央銀行、「ネオバンク」の言葉使用時のルールをフィンテック業界に通知
4月13日 ロシア、デジタル・ルーブルを前に推し進める
バークレー銀行(Barclays Bank)、スマホの支払・送金アプリで有名なPingitを6月30日で閉鎖
4月15日 チャレンジャーバンクのN26、保険商品の取扱いを開始。今後、さまざまな保険を展開していく予定
4月16日 JP Morgan、台湾の銀行とブロックチェーンを使い海外送金をテスト
4月20日 KEBハナ銀行、オラクル・クラウドへシステムの移行完了
PayPalが所有するモバイル決済サービス「Venmo」、アプリの中で仮想通貨の取扱いを開始
4月22日 ノルウェー中央銀行 、CBDC(中央銀行デジタル通貨)のテストを準備
4月23日 トルコ、国外逃亡をしていた仮想通貨交換所の責任者達を多数逮捕
4月28日 バークレー(Barclays US)、米国のデジタル金融基盤スタートアップ アマウント(Amount)と組んでホワイトラベルのBNPL(後払い)機能付POSを開始
(出典:筆者作成)


「ネオ」「チャレンジャー」バンクの定義を確認

 前述の通り2021年4月は仏中央銀行の「ネオバンク」という言葉の使用に対する警告や北國銀行のMicrosoft Azureへのシステム完全移行、みんなの銀行の一般開業などが報じられた。これらを見る上で、まずは「デジタルバンク」に対するネオバンクやチャレンジャーバンクの位置づけや基礎的な言葉の定義を整理しておく。

 デジタルバンクとは「ネット経済でのバリューチェーンに対応した金融サービスを提供できる銀行」のことである。筆者はデジタルバンクには以下の3種類が存在すると認識している。

 (1)デジタルで「銀行」を再デザインし、伝統的な金融機関との組み合わせによって優れたUI/UXで金融商品やサービスを提供する銀行免許を持たない「ネオバンク」、(2)新たに銀行免許を取得し、今までのネット銀行とは異なる形で銀行ビジネスそのものを再定義し、デジタルネイティブなアプローチで銀行としての新たな機能を創造していく「チャレンジャーバンク」、(3)伝統的金融機関でありながら、コアバンキングシステムをクラウドネイティブなデジタル基盤に変え「デジタルバンク化した既存銀行」。

「ネオバンク+伝統的金融機関」の実際

 実は、ネオバンクについて確たる定義はない。ウェブ上にも「ネオバンクとは何か」というさまざまな解説記事が散在している。チャレンジャーバンクと組み合わせて話されることも多く、それぞれが「デジタルバンク」の別形態として理解されているのではと推察している。ただし、ややこしいことにネオバンクとチャレンジャーバンクを同義で使っている場合もよく見かけるので注意が必要である。

 筆者が一番分かりやすいと考える解説記事は、thebalance.comにジャスティン プレチャード(Justin Pretchard)氏が寄稿した「ネオバンクの定義と事例」である。その中で彼は、以下のように解説している。
「ネオバンクは銀行に似た、ネット上だけの店舗を持たない金融機関である。ネオバンクが提供する金融商品やサービスは、伝統的金融機関と比較するととても限定的であり、単純な普通預金口座だけのことも多い。すっきりした経営形態によって、安い手数料や高い預金利息を提供している」
「銀行免許を持たず、主にスマホを端末としてデザインした効率的なアプリが提供され、そこでは伝統的金融機関と組んで預金を保護し為替とPFMを含む資産管理が扱われ、(SoFiやLending Clubといったローンの取扱いから派生したフィンテック企業を別として)与信取引はあまり扱われていない」
 日本では、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)の子会社iBankマーケティングがネオバンクを標榜している。銀行代理業の許可を得て、各所属銀行のフロントとして「これまでの金融サービスとは異なるユーザー体験を提供し、新たな価値の創造に乗り出し」ており現在、地銀9行に採用され全国展開が進んでいる。住信SBIネット銀行のネオバンク事業部での成果は、銀行代理業者へのBaaS提供に結び付き始めている。

 海外のネオバンクはトランザクション量を期待して経営されているフィンテック企業が多く、コロナ禍でファンドからの資金調達が見込めなくなった状況から事業転換や閉鎖を余儀なくされたフィンテック企業も出てきている。

 モバイルバンキングサービスを手掛けるムーブン(Moven)が業績不振の中、2020年4月末にBtoCビジネスをあきらめて事業縮小し、顧客の多くがVaro Moneyへ移管した件や、2021年にビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)のネオバンクでオンライン決済アプリの「Simple」が閉鎖したニュースは、両社ともネオバンク初期の有名な事例だっただけに衝撃を以って伝えられている

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次ページで世界のネオバンク、チャレンジャーバンクをまとめる

【次ページ】チャレンジャーバンクや「伝統的金融機関」の現状とは

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