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人口減社会において地方銀行は既存の融資事業からの転換を図りさまざまな試みを継続している。日経Fintechが発表した「地方銀行のデジタル投資調査」は、地方銀行でのデジタライゼーションの実態把握のために実施された。地方銀行60行を対象に、2020年1月の調査から回答をまとめたもので、各行のデジタル投資への本気度が示されている。
20%が経常利益の5%をデジタルに投じる
地方銀行60行に2019年度と比べた2020年度のデジタル投資額の増減を聞いたところ、全体の35.0%がデジタル投資額を増やすと回答した。
増減なしは20.0%、減少するとしたのは6.7%で、「分からない、答えられない」(38.3%)を除くと、約6割の地銀が2020年度にデジタル投資を加速させると回答している。
特に、回答全体の5.0%程度、デジタル投資を増やすと回答した地銀のうち約15%が50%以上の投資増を見込むという結果が出た。大幅なデジタル強化に注力する地銀が一定数存在することがうかがえる。
最も多かったのは、「10~30%増」という回答であり、回答全体の16.7%、投資を増やすと回答した地銀の半数近くを占めるとした。
2019年度の経常利益に占めるデジタル投資額の割合についての設問では、経常利益の5.0%以上をデジタル投資に振り向けていると回答したのは全体の20%。一方で1%未満とする回答も21.7%という結果だった。
注力したいデジタル領域、トップは「モバイルアプリ」
地方銀行が2020年以降に注力したいデジタル投資領域についての設問では、1位が「モバイルアプリ」が63.3%、同率2位が「オープンAPI」と「データ分析、活用」で43.3%だった。
4位は、非金融事業者の参入が顕著な「キャッシュレス決済」が38.3%、5位は、金融機関でも導入が進み始めている「クラウド」で28.3%だった。
メガバンクや中央銀行などが本格的な利用を模索するブロックチェーンは3.3%にとどまり、地方銀行での関心は限定的だった。
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