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- 2019/09/18 掲載
マネーフォワード瀧 俊雄氏:今後拡大の2分野、LINE銀行やアマゾン銀行は成功するか?
FinTech Journal創刊記念インタビュー
フィンテックを定義から覚えると誤解する
「フィンテック」を定義から覚えると誤解してしまいます。なぜなら、「フィナンシャルインダストリーがテクノロジーを使ってサービスを革新する」といった意味合いになるからです。表面的にはそうですが、本質は違います。この10年で人間の行動パターンは大きく変わりました。スマホネイティブな世界になり、最初の行動のところにテクノロジー企業があって、アップルやグーグルのサービスがサクサク動いています。
それなのに振り込みをはじめとする金融サービスは、どうしてこんなに面倒なのでしょうか。この流れから取り残された金融業が、どう変わるべきか問われているのがフィンテックなのだと私は見ています。
金融業は許認可制で、免許を持っていて預金を押さえている会社が社会を動かすというヒエラルキーも以前はありました。しかし、もはやそういう時代ではありません。
それは銀行も分かっていて、次のビジネスモデルは何かを考えるにあたって、世界の産業の最先端を走っているGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アマゾン)やBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)を見て、まずはその世界についていこうとしているのが、現在のフィンテックなのだと思います。
既存の金融機関とフィンテックは対立しない?
国内の銀行業と証券業は、儲からない産業になっています。金利が低いというよりは、そもそも資金需要が少ない国であるため、仮に日銀が何もしなくても金利は1%を切るのではないでしょうか。人口減の世界で、生産性向上を継続的に促せない経済では、金融のビジネスはそもそもなかなか成立しづらいのです。
ただし、海外を見れば、中間層の台頭や経済成長、第2次産業から第3次産業へと移り変わっている国が数多くあります。ですから、そちらへ資金を移すべきだという議論は90年代からありました。
ところが、日本の金融機関は、それに適応できないまま現在にいたっているのが実情です。
そもそも日本人は、余裕があるうちに手を打つのが非常に苦手です。極端な例かもしれませんが、たとえば「3年置きに原則として転職しなければならない」「勤めた会社の株を引退するまで持たなければならない」という2つの法律を作って徹底させれば、ずいぶん変わるはずです。
また、旧来の金融機関とフィンテックを対立的に見る向きもありますが、対立があるなら、そこには奪うべきフィープールがあるはずです。
かつて新興のネット証券が既存の証券会社に戦いを挑んだときは、個人の株式売買手数料という巨大なフィープールがありました。ところが、今の日本の銀行には相対的に奪うべきフィープールが限られています。したがって、そもそも対立軸が成立しづらい世界なのです。
ローカルの問題を解くのがフィンテック
もともと「フィンテックブーム」は、2014年の末のJPモルガンのレポートがきっかけに始まりました。ただし、米国では決済ではなく融資の文脈で騒がれ始めました。当時、金融危機後の資本規制強化が厳しくなる中、銀行ではない「シャドーバンク」と呼ばれる存在、個人や投資ファンドによって、直接お金を貸す仕組みがどんどん登場してきたのです。
その後も、ビットコインやTransferWise、ロボアドバイザー……など、さまざまなサービスが登場しましたが、海外のブームが必ずしも日本に広がったわけではありません。
なぜなら、フィンテックはもともと地域に根差したローカルの課題を解くものだからです。
一方で、輸入できるのは産業でなく、あくまで技術です。その技術でユーザーペインを解決することが大切なのに、最近の動きを見ていると、最先端の技術をいいものだと思い込みがちな日本人の悪い癖が出てきたなと感じます。
ユーザーが困っていることを把握して、それをできるだけ早く解決することが最も重要なはずです。
【次ページ】LINE銀行は成功するか? アマゾン銀行の実現性は?
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