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- 2024/08/15 掲載
晴海フラッグの「闇すぎる」現状、増える外国人観光客が絡む「完全アウト」の用途とは
連載:どうなる? これからの日本の不動産
晴海フラッグが今注目される「意外な理由」
晴海フラッグは、これまでさまざまな面で注目されてきた。そもそも用地自体の取得時点から、東京都が三井不動産などに対して「相場の9割引き」で土地を払い下げたのでは、という疑惑が取り沙汰された物件だ。この問題はその後「都の資産を不当に安く払い下げたことで都民に損害を与えた」という訴えが起こされたが、原告側の敗訴がほぼ確定している。
その後、コロナ禍により東京五輪が1年延期。選手村として使われた後に改装され、分譲マンションとして購入者へ引き渡されるのも自動的に1年延期されることになった。これに対して「もっと早く引き渡してほしい。できないなら遅延に対する補償」を求める裁判も行われ、昨年8月には原告の訴えを却下した東京地裁の判決が、東京高裁によって差し戻された。
一方、2019年に販売が始まった分譲マンションとしての晴海フラッグは、五輪の開催延期などで多少の紆余曲折はあったものの、毎回高倍率でほぼ完売状態の人気物件だ。中には200倍を超える高倍率住戸もあり、メディアでも話題になった。
高倍率になった理由は、転売目的の投資家たちが1人で何口もの申込を入れたせいでもあった。中には累計何百口も申し込んだが1戸も当たらなかった、というケースもあったらしい。
このため、販売を重ねるごとに申し込みのルールを変えるなど、販売現場の混乱ははた目にも異様に見えた。
この問題は2023年からNHKがたびたび取り上げており、特に今年5月に放送された「元選手村「晴海フラッグ」は誰が買った?1089戸を徹底調査~そこから見えたものは」という番組は話題を呼んだ。
番組では、登記簿で見る限り、1/4が法人名義で、中には明確に不動産投資を目的とする会社もあり、複数戸数を所有しているケースもあった。その後、3割以上の住戸には住民票の転入がないことも判明。夜になっても明かりがついている住戸が少ないことや、敷地内で営業する飲食店の利用者が少ない様子なども明らかになった。
晴海付近に出現する「謎のキーボックス」とは
そして最近、晴海フラッグに関してさまざまなメディアで取り上げられたのが「謎のキーボックス」である。晴海エリアの公道にあるガードレールやフェンスなどに、やや大きめのキーボックスが設置されていることが散見されるようになった。それは番号を合わせるとふたが開き、中にはマンションの鍵が入っていると思われるものだ。
実は、不動産の仲介業者が中古や賃貸のマンションの住戸を購入や賃貸での内見希望者を案内するときに、このキーボックスのスタイルはよく使われている。
物件を管理している不動産業者がキーボックスを設置し、内見希望者を案内するほかの業者にキーボックスの位置と開錠ナンバーを教えるのだ。そうすることで、物件を管理する業者は案内に立ち会わなくてもよくなる。
ただしこのような目的で使用されるキーボックスは、その物件の敷地内に設置されている場合がほとんどである。また、そのマンションの管理人や管理会社に了解を得ている場合も少なくない。そういったキーボックスの設置や利用には、何ら違法性がないからである。
ところが、話題になった晴海フラッグエリアの公道設置型のキーボックスは、不動産業者の案内の利便性を図るものではない。不動産業者は、誰かに勝手に持ち去られる可能性が高くなる公道にはキーボックスを設置したがらない。
一体このキーボックスは、誰が何のために設置しているのだろうか。 【次ページ】キーボックスの「闇すぎる」用途
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