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- 2025/02/25 掲載
終わりなきマンション価格バブルの「超意外」な要因、今後市場を待つ「不安要素」とは
連載:どうなる? これからの日本の不動産
最初は「局地的」だったマンション価格バブル
筆者が認識する限り、2013年以降の東京のマンション価格は上がり続けている。最初は東京の都心エリアと中央区、江東区の湾岸エリア、神奈川県川崎市の武蔵小杉エリア、そして京都市の御所周辺エリアに限定されていた値上がり現象だった。この減少を「局地バブル」と名付けて、何本も記事を執筆したことは記憶に新しい。
この現象はコロナ前の2010年代後半から東京の郊外や大阪都心部、そして地方の主要都市都心部まで広がった。その時点でもはや「局地バブル」とは言えなくなった。
そこに起こったのが新型コロナによるパンデミックだ。今から約5年前の出来事である。
周知のとおり、パンデミックに対して政府は、「ゼロゼロ融資」などの経済対策を打ち出した。この緊急経済対策は、事業規模で200兆円越えと巨額のものとなった。
なぜ東京オリンピック後にマンション価格は下がらなかった?
さて、この経済対策の「200兆円」が事業投資や消費に使われたとすると、2020年と2021年の日本のGDPは大幅な成長を遂げたはずである。なぜならその前年である2019年の日本のGDPは554兆円で、ここにプラス100兆円なら約18%の経済成長になるはずだ。ところが、実際には2020年度の経済成長は、実質GDP成長率が前年度比マイナス4.6%、そして2021年度はたったの2.5%プラスである。
GDPというのは、基本的に新たに生み出された付加価値がカウントされる仕組みになっている。たとえば、既存のビルが売買されたり、土地や中古マンションの所有権が取引されても、その成約額はGDPには入らない。
200兆円の消えた先は、その大半がGDPにカウントされない貯蓄と既存の不動産取引ではなかったかと、筆者は想像している。
筆者はこれまで「2020年の東京オリンピックが終われば『宴の後』で不動産価格は下がりますよ」という予測を立ててきた。
ただ残念ながら、その予想は見事に外れた。コロナが起こったことで東京五輪の開催は2021年に延期され、予想もしなかった「200兆円」の景気対策が行われ、不動産価格は上昇し続けた。 【次ページ】デベロッパーによる「価格爆上げサイクル」が起こるワケ
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