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  • 2024/03/28 掲載

世界で始まる不動産の「バブル崩壊」、日本でも起こり得る「3つ」の“転落シナリオ”

連載:どうなる? これからの日本の不動産

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現在、世界では不動産市場の下落が始まっており、「不動産バブル」の崩壊の足音が強まっている。一方日本においては、都心での新築マンション価格の高騰に代表されるように価格下落は起きていない。一体この差はどこからくるのか。その「3つの理由」を解説するとともに、下落に転じ得るシナリオを解説する。

執筆:不動産ジャーナリスト 榊淳司

執筆:不動産ジャーナリスト 榊淳司

不動産ジャーナリスト・榊マンション市場研究所主宰。 1962年京都市生まれ。同志社大学法学部、慶應義塾大学文学部卒業。 主に首都圏のマンション市場に関する様々な分析や情報を発信。 東京23内、川崎市、大阪市等の新築マンションの資産価値評価を 有料レポートとしてエンドユーザー向けに提供。 その他経済誌、週刊誌、新聞等にマンション市場に関するコメント掲載多数。 主な著書に「2025年東京不動産大暴落(イースト新書)※現在8刷」、 「マンション格差(講談社現代新書)※現在5刷」、 「マンションは日本人を幸せにするか(集英社新書)※増刷」等。 「たけしのテレビタックル」「羽鳥慎一モーニングショー」 などテレビ、ラジオの出演多数。 早稲田大学オープンカレッジ講師。

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日本の不動産価格が下がらない「3つの理由」とは
(出典元: Ned Snowman / Shutterstock.com)

世界ですでに始まった不動産の「価格下落」

 今、世界の不動産市場を眺めると、基本的には下落基調である。

 たとえばアメリカでは、コロナ禍以降に普及した自宅でのテレワークが、IT技術者などホワイトカラー層である程度定着した。それによって、オフィス面積への需要が明確に減退。商業用不動産の下落が鮮明となり、金融機関が行っている不動産関連融資の不良債権化が危ぶまれている。地銀の持ち株会社であるニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)は有力格付け機関から「投資不適格」まで評価を下げられている。

 ヨーロッパでも不動産市場は厳しいようだ。ブルームバーグがドイツのオフィス不動産の低迷を先月報じたように、ウクライナ戦争の影響でエネルギー価格が高止まりしているせいで、ドイツに限らずヨーロッパは全般的に景況感が悪化していると見られる。

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ヨーロッパの不動産市場は厳しさを増している
(Photo/Shutterstock.com)

 中国における不動産バブルの崩壊に関しても連日のように報道されており、今や議論の余地のない共通認識になっている。

 では、足下の日本の不動産市場はどうなのだろうか?

 筆者は不動産やマンション市場について分析することが生業だが、目下のところほとんど変化は感じられない。

 というよりも、前回の連載で紹介したとおり、東京都心とその近辺に限っては、マンション価格の上昇傾向に陰りはない。札幌、仙台、名古屋、大阪、京都、広島、福岡などの主要都市でも、中心部は値上がり基調だが堅調な需要が見られる。

 ではなぜ、日本の不動産市場では世界と連動した価格下落が起きないのか?

 その理由は大きく3つあると思われる。

日本で価格下落が起きていない「3つの理由」

 まず、最初の理由は、主要国では金利が上昇していた際も、日本ではゼロ金利政策が長い間継続されていたことだ。

 今やアメリカの住宅ローン金利は7%を超えている。当然、住宅市場の動きは鈍い。ほぼフリーズしていると言っていいだろう。

 ヨーロッパでも、主要政策金利は2023年の9月まで10回連続で引き上げられ、4.5%に達した。住宅ローン金利は国や銀行によって異なるが、おそらく5%以上だ。それが原因でマーケットの動きは急速に鈍っている。

 あの中国にしたところで、事実上の政策金利であるLPR1年物は3.45%である。住宅ローンは4%前後だ。

 ところがこれらの地域に対して、日本の政策金利はマイナス0.1%で、住宅ローンの変動金利も0.4%前後。中には0.2%台に設定している銀行さえある。

 世界の主要国で金融緩和をここまで継続してきたのは、日本だけだ。

 このことは、日本の不動産が下落に転じない最大の理由であると言えるが、この先も下落しない保証はもはや一切なくなった。今月19日に開催された日銀の政策決定会合で、マイナス金利の解除が決定されたからだ。この金利解除が与える影響については、後ほど触れたい。 【次ページ】実は「景気」は悪くない?

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