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- 2024/02/15 掲載
「渋谷の地価」100年に一度の再開発でどれだけ変わった? 最高値・最安値地点はここだ
2023年度時点で渋谷「最高値」路線価はQFRONTビル前
2018年の渋谷ストリームの誕生以降、2019年には渋谷スクランブルスクエア、渋谷フクラス、渋谷PARCOなどと渋谷駅周辺では延々と工事が続き、まちは姿を変えてきた。2023年にはShibuya Sakura Stageの建物が完成、駅周辺では一応の完成が見えてきた。では、この5年余りでまちの価値はどのくらい上がったのか。実際の価格で考えた場合には取引がなければ金額が分からないが、ひとつ、指標になる数字がある。それが路線価である。
これは税金を算出するために国税庁が毎年作っているもので、道路に面した1m²あたりの価格が道路ごとにびっちり記された地図である。
現時点で最新の2023年度の路線価図で渋谷駅前を見ると、最も高い場所はハチ公広場の斜め向かい、TSUTAYAやスタバの入ったQFRONTビルの前。価格は、1m²で2,944万円である。
1m²は1m×1mだが、分かりやすくイメージするとしたらトイレだ。分譲マンションのトイレは80cm×120cmというサイズが多く、広さにして0.96m²。つまり、渋谷の駅前ではトイレひとつ分の土地が約3,000万円ということになる。
実際にはもっと高い。路線価図は2種類あり、ひとつは固定資産税、もうひとつは贈与税、相続税を算出するために使うもので、ここで例示したのは後者。これは毎年更新されるので最新の数字を見ることができるためだ。
だが、この数字は地価公示のおおよそ8割程度になるように評定されており、公示地価自体も一般の土地取引価格の指標となることを意図しているものの、必ずしも実勢価格(実際に売買された価格)とイコールというわけではない。そう考えると、渋谷駅前のトイレひとつ分の土地代は4,000万円、5,000万円? とても3,000万円では済まない計算になる。
しかし、ここで見たいのは5年前からどのくらい上がったかという割合であり、実際の取引価格ではない。そう考えれば、同じルールで評価され続けている数字なら実際の数字でなくても良いわけである。
トイレひとつ分の土地が「5年間で500万円アップ」
では、5年前の同じ地点の路線価はいくらだったか。2,400万円である。渋谷で開発が進んだことに加え、日本全体でもばらつきはあるものの土地価格が上がっているところは上がっており、その結果、渋谷駅前のトイレひとつ分の土地価格はこの5年間で500万円、2割ほど上がったということになる。ただ、もうすぐ、ここよりも高くなるはずの場所がある。現在再開発をしている駅周辺である。
土地の価格はおおよそ3つの要素で決まるが、そのうちのひとつ、誰もが知っているのが「利便性」である。便利な場所のほうが高いというルールで一般には都市部であれば駅前など利便性の高い場所が高く、遠ざかるにつれて安くなる。そのルールからすると、駅とハチ公広場を挟んだ場所より、駅により近い場所のほうが高くなるはずなのである。
しかしながら、そのエリアは現在区画整理事業が進んでおり、まだ価格が決められていない。再開発が終わり、道路が整備されてからでないと路線価は付けられないのである。
そのあたりの事情がよく分かるのは渋谷駅西口バスロータリー前だ。 【次ページ】再開発でフクラス周辺はいくら上昇? 渋谷最安値スポットはどこ
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