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  • 2023/11/08 掲載

新NISAでも対象に、これから「投信の購入対象」に追加される3つの資産とは?

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金融庁は、岸田政権が掲げる「資産運用立国」の実現に向け、投資信託で投資できる資産の種類を増やすための環境整備を検討しています。預貯金に滞留しがちな家計金融資産を投資に回すため、資産運用の選択肢を増やすという大義を打ち出しています。ただし議論の中身に目を向けると、特に政府が足元で注力している政策テーマと関連性の強い分野への資金供給を集中的に進める狙いも垣間見えます。今回は首相の諮問機関である金融審議会傘下の作業部会における議論を踏まえ、投信の購入対象に追加され、NISAなどで投資できるようになる可能性がある資産を3つ紹介します。
執筆:三上 剛輝、編集:川辺 和将

執筆:三上 剛輝、編集:川辺 和将

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政府は投信の新たな投資対象として3つの資産に目を付けている
(Photo/Shutterstock.com)

投資信託を通じて何でも買えるわけではない

 そもそも投資信託とは、 投資家から集めたお金を1つの大きな資金としてまとめ、運用のプロであるファンドマネジャーの判断によって株式や債券などに投資・運用し、その運用の成果としての利益を投資額に応じて投資家に分配する仕組みの金融商品です(実際の運用方針や投資先、ファンドマネジャーの関与の度合いは個々の商品によって異なります)。

 運用成績は市場動向などで変動するため、運用が好調で利益が得られることもあれば、運用が低調で元本を棄損する(戻ってくる金額が投資した額を下回る)こともあります。

 株式や債券は銘柄によって最低投資金額が高額になる場合もあり、ハードルが高いイメージを抱かれることもあります。一方、株式や債券に間接的に投資する仕組みを取る投資信託は、小口での投資も可能です。商品ごとの運用成績や投資効率にバラツキはあるものの、金融庁は投資信託を中間層による長期的な資産形成の主要な手段として位置付けています。

 とはいえ、投資信託を買えば何にでも投資できるというわけではありません。実は投資信託を通じて投資できる資産の種類は、法令上のルールによって定められているのです。

投資を制約する「特定資産」ルールとは

 投資信託法上、投資信託(以下、投信)は「主として特定資産に対する投資として運用する」という決まりがあります。この「特定資産」の範囲は政令で定めることになっています。要するに、基本的には国が認めていない資産に、顧客から預かった資金を振り向けることは難しい建て付けとなっているのです。

 投信を通じて投資することが多い株式や債券も、もちろんこの特定資産に含まれます。ほかにもデリバティブ取引に関する権利、不動産や再生エネルギー発電設備も、特定資産に該当します。

 反対に、たとえば暗号資産は特定資産に含まれないため、投信が顧客から預かった資金の大半を暗号資産への投資に回すことはできません。

 ちなみに2021年12月には、ネット証券大手のSBI証券が国内で初となる一般投資家向けの暗号資産ファンドの取り扱いを開始し、注目を浴びました。

 ファンドという名称がついているため投信で暗号資産が買えるようになったかのように見えますが、これは誤解です。SBI証券の具体的な商品設計をみると、法律上の位置づけは匿名組合であり、投信法上の投信とはまったく別のスキームを用いています。

投信で投資しやすくなる可能性がある資産3選

 岸田政権は「資産運用立国」を掲げ、少額投資非課税制度(NISA)の大幅刷新などを通じ、大半が預貯金に眠っている個人の貯蓄を投資に振り向ける機運を盛り上げようとしています。

 こうした政策の一環として、投信の投資対象資産の拡大が議論のテーブルに載せられているのです。

 実際に、どのような資産が投信で新たに購入しやすくなるのでしょうか。首相の諮問機関・金融審議会の傘下に位置付けられる専門家会合「資産運用に関するタスクフォース」での議論をもとに、今後、投信で投資しやすくなる可能性のある資産の候補を3つ紹介します(※この記事は取材に基づく直近の制度改正に関する動向の紹介を目的としており、特定の資産への投資による収益を確約したり、投資行為を推奨したりといった意図はありません)。

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「日本では、家計金融資産に占める現預金の割合が大きい。資産運用業の改革、新規参入と競争の促進により、更なる資産運用の伸長の余地がある」
(出典:内閣官房 新しい資本主義実現本部事務局「資産運用立国に関する基礎資料」)

【次ページ】政府が示す3つの「投信購入対象資産」とは?
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