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- 2023/11/09 掲載
自動運転にこそ「ワイヤレス充電」が最適なワケ、テスラ優位「EV充電規格」争いもムダに
ワイトリシティとは? 充電企業が注目する自動運転サービス
2023年9月、米マサチューセッツ州に本社を置くワイトリシティが自動運転に関するウェビナーを開催した。ワイトリシティはMIT(マサチューセッツ工科大学)からスピンオフした、EV向けのワイヤレス充電システムを提供する企業だ。主催者として自動運転に関する話を聞いたのは、ワイトリシティ プロダクトマーケティング責任者のパンポッシュ・ズッチ氏。ウェビナーそのものは自動運転の定義、現在の主要プレイヤー、今後の展開などを聞く内容だったが、「ワイヤレス充電システムを作る企業が自動運転に関するウェビナーを行ったこと」に意義がある。
本ウェビナーでは、「2035年には地球上で車両が走行する総距離のうち、およそ半分が自動運転によるシステム走行になるだろう」という見通しが語られた。
もちろん一般の車両にレベル4以上の完全自動運転が導入されるのはまだ先の話ではあるが、シャトルバス、ロボタクシーなどが世界中で徐々に普及しつつある。特に米国ではサンフランシスコ、アリゾナ州フェニックスにおいてアルファベット傘下のウェイモによる「Waymo One」というロボタクシーサービスが商業的運行を開始した。
ロボタクシーとは、ウーバーなどのライドシェアと同様に、アプリを使って自動運転のタクシーを呼び、アプリにあらかじめ入力した目的地までドライバーのいない車が利用者を送り届けるサービスだ。現在は2都市での運行だが、2024年早々にもロサンゼルスでもサービス提供が始まる予定だ。
また、GM傘下のクルーズも同じくサンフランシスコで実験的導入として希望者に無償でのロボタクシーサービス提供を開始した。ただし、現在カリフォルニア州では、10月上旬に起きた人身事故と虚偽申告の疑いで無人での走行の運行許可が取り消されている。安全面の向上を進めるための時間は必要となるだろうが、徐々にサービス対象エリアを広げていくのは間違いない。
さらに商用車(フリート)においては、無人のトラック輸送を行う中国のTuSimple(トゥーシンプル:図森未来科技)などがある。こちらも今後は市街地での宅配などを中心にサービスが拡大すると考えられる。
また、大手小売チェーンのウォルマートが薬局部門でのロボットによる宅配などを進めている。このように商業目的では、今後自動運転によるサービスは日常のさまざまな分野において広がりを見せて行きそうだ。
「ワイヤレス充電」とは? メリットは何か
一方ワイトリシティは、全世界のワイヤレス充電の27%を占める最大のワイヤレス充電メーカーだ。ワイヤレス充電とは、スマートフォンのワイヤレス充電と同様のシステムで、ケーブルやプラグなしでEVに充電を行うシステムのことだ。充電パッドから電磁波を生じ、車に取り付けられたコイルが電磁波を電力として使用する。この方法を用いれば、テスラの「NACS」や欧米の「CCS2」、あるいは日本の「CHAdeMO(チャデモ)」といった異なる充電規格間でのプラグの互換性の問題がなくなり、単に車を充電パッドの上に駐車するだけで自動的に充電を開始することができる。 【次ページ】メリットの一方、コストはどれくらい? 実際にはどう活用?
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