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- 2023/06/21 掲載
「求められるのは具体的な解決策」、製造企業オムロンがソリューションを強化するワケ
Seizo Trend創刊記念インタビュー
前編はこちら(この記事は後編です)
製造現場の「課題が特定しづらい」を打ち破る
前編でお話ししたとおり、私たち、オムロン インダストリアルオートメーション ビジネスカンパニーでは、製造業が抱える課題解決に向けて「i-Automation!」を基にしたソリューションビジネスを強化してきました。i-Automation!事業を開始した2016年度の導入社数は900社でした。それが2022年にはグローバルで3700社まで増えてきました。売上構成比率のCAGR(年間成長率)は22%に上ります。
オートメーションセンターは2016年度8拠点から2022年度にはグローバル36拠点に拡大したり、アプリケーション・エンジニアも400名増やして計1740名体制にまで強化しています。
さらには顧客起点でソリューションを提供するという意味を込めて、今年度より国内の営業部門の名称を「ソリューション営業本部」に変更しました。
2016年に提供開始したi-Automation!は、今までは生産性や品質の向上に主眼を置いていましたが、それぞれの顧客が抱える課題はより複雑化し、「ESG(環境・社会・ガバナンス)」の観点が密接に絡んでくることになります。
また、顧客自身がこれまでの経験だけでは自社の課題を特定しづらく、私たちにとっても新しい課題になることも多いため、これからどう対峙していくのかというところが、結構大きなハードルになると思います。
さらに2022年1月にはi-Automation!を進化させましたが、それに先駆けて、新しいサービスとして創出してきたのが現場データ活用サービス「i-BELT」です。
エネルギー抑制と生産性を両立「エネルギー生産性」という考え方
i-BELTとは、私たちがコンサルティングからともに製造現場に入り、現場のデータを収集し、課題の見える化・分析を経て、我々のソリューションを導入し、制御へのフィードバックを実施することで解決していくサービスです。単にコンサルティングだけではなく、課題の特定した後に解決するところまでを一気通貫で提供する点が特徴です。すでに各業界のリーディングカンパニーのお客さまに数多く導入いただき、展開しています。製造業では経営課題として避けて通れないカーボンニュートラルへの取り組みを例に挙げてみましょう。国立環境研究所の調査では、世界で排出されるエネルギー関連のCO2排出量のうち、製造業が占める割合は23%に上るという結果が出ており、製造現場におけるエネルギー消費は、産業全体から見てもかなりの割合を占めています。
ただ、製造現場の設備レベルまでエネルギー消費を抑制すると、生産性や品質に影響するトレードオフが起きるというジレンマがあったため、なかなか踏み込めなかったのが事実です。いかに生産性を落とさず、むしろ生産性を上げながら、省エネ、もしくは再エネを実現しなければいけないのが大きな課題です。
そこで重要となるのが「エネルギー生産性」という指標です。この指標は分母に消費エネルギーを、分子に付加価値を用いて計算できます。私たちは、エネルギー生産性の向上こそが、脱炭素と事業成長を両立できる鍵になると考えています。
i-BELTでは「製造」「品質」「設備」「エネルギー」という4つの価値カテゴリで、顧客の課題に合わせた現場診断サービスを提供しています。具体的には、生産性向上を支援する「製造管理サービス」、省エネを支援する「エネルギー効率管理サービス」などを提供しています。
【次ページ】製造業の「人材枯渇」問題を解決する2つの方法
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