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  • 2020/12/17 掲載

なぜeスポーツでの年俸が暗号資産なのか?FIFAのMikey選手、スマブラのKEN選手に聞く

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コンピューターゲーム・ビデオゲームを使ったゲーム対戦をスポーツ競技として捉えるeスポーツの人気が急速に拡大している。世界におけるeスポーツの視聴者人口は、2019年末時点で4億5000万人に達し、将来はオリンピックとの融和の流れも期待されている。このeスポーツ分野に金融事業を手がけるSBIグループが参入、SBI e-Sportsを立ち上げ、新たに2名のプロ選手が加入した。この取り組みでユニークなのは、その年俸が暗号資産で支払われること。プロ選手両名は暗号資産での支払いをどう受け止めたのか? FIFAのMikey選手、スマブラのKEN選手に直接話を聞いた。
聞き手・構成:ビジネス+IT編集部 松尾 慎司

聞き手・構成:ビジネス+IT編集部 松尾 慎司

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SBI e-Sportsに加入したMikey選手(右)とKEN選手

SBIがeスポーツ事業に参入

 第4のメガバンク構想に加えて、ヤフーを傘下に抱えるZホールディングスとの業務提携、一般社団法人 日本STO協会の立ち上げなどに取り組むSBIグループ。同社は、2020年6月19日にSBI e-Sportsを設立し、eスポーツ事業に参入した。

 eスポーツとはエレクトロニック・スポーツの略で、コンピューターゲーム・ビデオゲームを使ったゲーム対戦をスポーツ競技として捉える動きだ。近年、eスポーツ分野の人気は急速に拡大し、世界におけるeスポーツの視聴者人口は、2019年末時点で4億5000万人に達し、将来はオリンピックとの融和の流れも生じつつあると言われている。

 SBI e-Sportsは、プロフェッショナルeスポーツチームの運営、eスポーツメディアの運営、eスポーツに係るコンサルティング等を行う新会社であり、この10月15日にeスポーツプロチーム「SBI e-Sports」として、新たにFIFA部門と「大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ(スマブラ)」部門を発足し、FIFA部門にはMikey(マイキー)選手が、スマブラ部門にはKEN(ケン)選手がそれぞれ新規加入し、プロフェッショナル契約を締結した。

 両者に対する年俸は、本人たちの希望とSBIグループのSBI VCトレードとのスポンサー契約に基づき、日本円ではなく暗号資産「XRP(リップル)」で支給されるという。なぜ、eスポーツでの年俸が暗号資産なのか? また、今回プロフェッショナル契約を結んだ両者は、なぜそれを承諾したのか。SBI e-Sports代表取締役社長の小谷雅俊氏同席のもと、その真意をMikey選手、KEN選手に直撃した。

eスポーツは世界が舞台

──お2人はどういう経緯でFIFAとスマブラに関わるようになったのでしょうか?

Mikey選手:僕は現在31歳ですが、子供の頃からゲームが大好きでした。そして、小学1年生の頃、友達の家で、そこにあったコナミの「ウイニングイレブン(ウイイレ)」から、なんとなくサッカーゲームを手に取るようになりまた。たぶん、プレイステーションのソフトで「Jリーグ実況ウイニングイレブン'98-'99」だったと思います。

KEN選手:僕は現在25歳です。子供の頃はスマブラについて、eスポーツのような大会はありませんでしたが、ゲーム雑誌(ファミ通、電撃プレイステーション)が主催する大会が徐々に開催されるようになり、たまたま本屋さんで立ち読みをした雑誌に大会の記事が載っていて、「なんだろこれ?」とその存在を知り、大会やオフラインのイベントを意識するようになり、次は大会に出てみたいなと思うようになりました。

──そこから、時を経てプロになっていく変遷を教えてください。

Mikey選手:21歳の頃だったと思いますが、ウイイレのコナミの日本の大会で優勝し、日本チャンピオンとして初めて、スペインのマジョルカというリゾート地で開催された世界大会に招待されました。まだeスポーツという言葉もなかったと思いますが、実際、プロ意識もありませんでした。日本では、正直、対戦相手がいないくらい強かったのですが、海外にもっと強い人がいることを初めて知り、この人たちを倒すにはもっと練習しないとならないと衝撃を受けました。


──まだサッカーゲームは「FIFA」ではなかったんですか?

Mikey選手:ウイイレですね。EAスポーツが開発するFIFAは台頭していなかった頃ですね。もちろん当時からFIFAの存在は知っていましたが、それほど有名ではありませんでした。世界的にもサッカーゲームと言えばウイイレが有名でしたね。

 そこをきっかけに勝つことを意識し始め、練習するようになりました。その次の年も日本の大会で勝って優勝し世界大会に出場しました。次の大会は、ドイツのケルンタワーの最上階で開催されたんですが、しっかりと対策をして出場し、しかも全部、キレイにハマりましたが、それでも決勝で負けて準優勝でした。

 その大会は基本的にはコナミ公式の大会でしたが、プレイヤーに対してリムジン貸し切りや船貸し切りといった大会の派手さがとても鮮明に記憶に残っています。当時、まだヨーロッパでもウイイレに関してはプロゲーマーという概念はなかったと思いますが、でも海外のプレイヤーのノリはもうプロのような雰囲気でしたね。

──同じ質問ですが、KENさんはスマブラのプレイヤーですが、いかがでしたか?

KEN選手:ゲームは、本当に小さい頃から自分の生活の中にありました。それこそ、赤ちゃんの頃は父親がゲームしているのをずっと見ていると泣かない子供だったそうです(笑)。スマブラを始めたのは、携帯ゲーム機で遊べる前作の3DS版「大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS」からで、本格的に始めたのは2014年ですね。


 当時、スマブラに初めて野良対戦のワンオンワン(ゲーム機を持ち寄った通信対戦)が3DSに実装されたので、発売されてからは、自分の身ひとつでこれは一生対戦できると、1日18時間ぐらいやっていました。その後、「スマメイト」というレイティング対戦サイトでオンライン対戦をするようになり、ひたすらやりこんで、そこそこ勝てるようになりました。

 その後、オフライン大会に行くようになるのですが、きっかけは、自分の大学にスマブラのためのサークルのようなグループがあって、そこに「大乱闘スマッシュブラザーズX」Wii版(以下、X)からプレイしていた強い人がおり、その人に連勝して、サークルの誰にも負けなかったことから、「大会に出てみたらどうだ」となって、「ウメブラ」という関東の大きいオフラインの大会に初めて出場しました。

 大会は2015年の4月頃でWii U版のスマブラによる大会でした。初めての大会は、予選落ちしてしまいましたが、予選落ちの人同士のBグループで優勝したというオフ大会デビューでした。そこから1年後に同じ大会で全参加者の中で優勝できるようになりました。大会参加者は当時は200人ぐらいでした。今は1000人以上になっています。コロナ禍の前の今年1月の「EVO Japan」という大会では、スマブラ部門の参加者が一番多く、申請者は3000人超えていたそうです。

 海外に初めて行ったのは、その大会で優勝した4ヵ月後ぐらいの本家、米国で行われたEVOで、同大会では、ベスト16でした。スマブラの発売元は任天堂ですが、世界ランキングはほとんどがアメリカ人が占めています。EVOの大会1ヵ月後ぐらいに、スマブラ2周年記念として日本で海外勢から世界ランキング2位、3位クラスの上位プレイヤーを呼んで行われた大会がありましたが、そこで僕が海外勢を打ち負かすことができ、そこから世界を意識し、真剣にやってみたいと思うようになりました。

【次ページ】暗号資産で年俸を受け取るということ
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