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- 2020/07/31 掲載
進まぬタッチレス化、今後の主流は「スタバ方式」になるのか?
タッチレスが伸びるのは「米国以外」、伸びるのはアジアと欧州
米CDC(疾病管理センター)が明らかにした、ちょっとショッキングなニュースがあった。コロナ陽性者の追跡調査の結果、中国から帰国した女性と同じアパートメントに住む複数の感染が確認された。しかし当の女性は自主隔離を行っており、付近の住民とは2週間以上にわたりまったく顔を合わせていなかったという。理由として浮上したのがエレベーター。女性がエレベーターのボタンを押した、あるいは中で咳などをしてドロップレットがボタンなどに付着していた、そのボタンを他の住民が押し、その手で顔などに触れた可能性が高いという。
人が触れたものに触らない、触ったら手や指の消毒を行う。スーパーマーケットなどでもショピングカートやカゴを客の使用後にいちいち消毒しているところもあるが、すべてではない。しかも最大の問題はクレジットカードでの支払いにある。米国のほとんどの店舗ではカードリーダーに客がカードを差し込み、パネル上で署名をするシステムをとっている。しかし、署名のためのペンはリーダーに付属したもの、つまり大勢が触れたものをそのまま使用するしかない。
もちろん米国にもスマホ決済など、タッチレスで利用できる支払い手段はある。しかし、その普及度は意外に低い。Markets and Markets社のデータによると、2020年のグローバルタッチレス決済の市場は103億ドル。2025年には180億ドルにまで成長する見込みだが、伸び率が高いのは欧州および日本を含むAPAC(アジア太平洋)諸国で、米国の伸び率は大きくないと予想されている。
タッチレス不要論者は大幅減も……
eMarketerの調査によれば、米国で2019年に最も使用されたタッチレス・ペイメントはアップル・ペイで、ユーザー数はおよそ3,000万人。次いでスターバックス・モバイル・ペイメントが2,500万人。3位がグーグル・ペイの1200万人となっている。またスマホ決済で支払われた総額は2019年にはおよそ990億ドルだったが、2023年には2,200億ドルに成長する、と予測されていた。しかしこれは昨年までの数字だ。新型コロナウイルスの流行により、人々のタッチレス・ペイメントへの意識が大きく変わりつつある。Futurist Group社が行ったアンケート調査によると、昨年3月の時点で「タッチレスはベーシックであり自分にとって必要な手段」と答えた人は30%だったが、今年3月には38%に増加した。逆に「必要ない」と答えた人は41%から33%へと減少している。
3月以降、米国のほとんどの州でロックダウンが行われ、レストランなどはテイクアウトのみの営業となった。5月にいったん解除されたものの、カリフォルニアなどはその後コロナ陽性患者が急増し、7月6日から再び店内飲食が禁止となった。
そこで活躍しているのがスターバックス・モバイル・ペイメントに代表されるスマホによる注文決済方式だ。ちなみに米国では4000店舗以上のスターバックスがロックダウン解除後もテイクアウトのみの営業となっており、多くがスマホで注文、ドライブスルーで受け取る形だ。
【次ページ】「スマホで注文、ドライブスルーで受け取り」というスタバ流
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