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- 2019/08/09 掲載
LINE Financial 齊藤哲彦社長に聞く、LINE Scoreは金融業でどういう役割を担うのか
FinTech Journal創刊記念インタビュー
デジタルイノベーションは金融に限らず、どこでも起きている
フィンテックと一般にいわれていますが、これは金融業界だけを見たときのいい方で、もう少し俯瞰(ふかん)的に表現すると、産業界全体にデジタルイノベーションが起こっていると捉えるべきだろうと思います。まさに新しい変革の時期が今訪れていて、そのうち金融分野で起きているのがフィンテックです。ではデジタルイノベーションとは何かといえば、今までB(Business、企業)が主役であったものが、C(Consumer、消費者)に変わったというのがポイントだと思います。大企業が治めていた世界をCがコントロールするようになったのです。
実際、インターネットの普及によって、銀行の支店に来られるお客さまは少なくなりました。来店客数でいえば昔の1/10とかそれぐらいになっているかと思います。なぜなら、リアルな店舗を前提としたモデルから、インターネット、PC、スマートフォンを前提としたモデルに変わりつつあるからです。
これはお客さまのニーズによるものなので、この変化に対し、どう対応していくべきか、銀行もそうですし、金融機関すべてが考えていかなければなりません。
もちろんプラスの側面もあって、個人のニーズを的確に捉えてサービス提供できれば、今までリーチできていなかったお客さまにもつながって、サービスを提供することができるはずです。
人生を豊かにする2つのピース「つながり」と「お金」
私は人生を豊かにするものとして、2つのピースがあると思っています。1つは人との「つながり」で、もう1つは「お金」です。後者に関してもう少し言葉を補足すると、これは別に拝金主義ということではなく、適切な金銭管理が人生に余裕をもたらすことを意味しています。LINEは、非常にすぐれたUI(ユーザーインターフェイス)、UX(ユーザーエクスペリエンス)テクノロジーを持ってコミュニケーションカンパニーとして成功し、今は8,000万人ユーザーが毎日これを利用しています。その意味では、人との「つながり」のところはピースを埋めています。
しかし、「お金」に関することはまだまだこれからです。これはやはり、金融は特別なものという感覚が誰の中にもあって、たとえば投資であれば「怖い」「失敗したらどうしよう」と思われているからだと思います。一般の人にとって、金融は本当にハードルが高いんですよ。いかめしい門構えがある家みたいなもので、「用もないのに入っていいのか」というところがあります。
それを、LINEという8,000万人のユーザーに普及したインフラを武器にすれば、一般の人にもその敷居の高い金融サービスにアクセスしやすくできるのではないかと考えて私は金融業界から転身してきました。
私はよく「てのひら金融」と呼んでいるのですが、これによってハードルを非常に低くして、多くの人々に付加価値を提供したい。まるでグーグルで検索するのと同じぐらい気軽な形で行える金融サービスを創り出すことは、社会的にも大きな意味があると思っています。
ITを使ったデジタルイノベーションが起こっている中で、リアルを前提としない、ネットだけで完結するようなビジネスモデルを、お客さまにとってメリットのある形で提供し、なおかつお客さまが主導権を握った状態で自ら欲しいものをセレクトできるような、そういった世界を我々は構築したいと思っています。
コミュニケーション側から入った金融というのは多分、今まで世の中になくて、だからこそそれを強みにしながら、金融分野へ飛びこんでいくというのが、今回我々がチャレンジしているところです。
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