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- 2024/07/28 掲載
高騰する住宅価格、進む購入者の高齢化、米サンノゼ中央値3億円で「とても買えない」
一般的な住宅価格でも7,000万円に、米国の住宅事情
米国の住宅価格は過去20年で大幅に上昇、特にコロナ禍以降の上昇幅が著しく、家計負担の増大を招いている。1960年代との比較で言えば、米国の住宅価格は名目で20倍以上、実質でも2倍以上に上昇している状況だ。米連邦準準備制度理事会が発表しているデータによると、1964年第1四半期の米住宅価格中央値は1万8,500ドルだったが、2024年第1四半期には42万800ドル(約6,800万円)にまで上昇した。名目による単純比較では、22倍の差となる。
また、物価を考慮した実質価格を見ると、2024年の物価に換算した1964年3月時点の住宅価格中央値は約18万5,000ドルとなり、現在の中央値42万800ドルとはそれでも2.27倍の差だ。
1965年時点の国勢調査データによると、当時の米国における世帯所得中央値は6,900ドルだった。住宅価格が2万ドル弱だったことを鑑みると、平均的な世帯は収入の3倍ほどの価格で住宅を購入できていたことになる。
一方、Motio Researchの分析によれば、2024年4月時点における米国の世帯所得中央値は、7万8,238ドル(約1,225万円)。42万ドル以上の住宅を購入するには、平均的な世帯は年間所得の5.3倍以上を捻出しなくてはならない状況だ。
これに伴い、住宅購入する年齢も年々高まっている。特に貯蓄が少ない若年層にとって、住宅購入のハードルが高まっているためだ。Axiosによると、米国の初回住宅購入者の年齢中央値は、1981年に29歳だったが、2013年に31歳となり、2023年には35歳まで上昇したという。
一戸建て住宅の販売価格中央値が3億円に達する地域も
これらは米国全土の話であるが、状況は州・都市ごとに大きく異なるため、各地域の動向にも目を向ける必要がある。全米不動産業界団体National Association of Realtorsのデータによると、1戸建て住宅の販売価格中央値が最も高いのはサンノゼ地域で、価格は184万ドル(約3億円)に上る。
これにアナハイム・サンタアナ・アーバイン地域が136万ドル、サンフランシスコ・オークランド・ヘイワード地域が130万ドル、ハワイ州ホノルルが108万ドル、サンディエゴが98万ドルなどと続く。
CNBCが2024年4月9日に報じたところでは、カリフォルニア州の一部都市では、一般的な一戸建て住宅を購入するために年間20万ドル以上の収入が必要とされる。
また上記に示した販売価格中央値が高い地域における必要年収は、サンノゼ地域で46万8,252ドル、アナハイム・サンタアナ・アーバイン地域で34万7,651ドル、サンフランシスコ・オークランド・ヘイワード地域では33万4,676ドルとなる。またハワイ州ホノルルでは28万6,093ドル、カリフォルニア州サリナスでは26万5,895ドルとなっている。
これらの都市は、もともと住宅価格が高い地域として知られているが、近年の価格上昇により、一般的な世帯にとって住宅購入のハードルがさらに高くなっている状況だ。
一方で、ミシシッピ州、オハイオ州、アーカンソー州、インディアナ州、ケンタッキー州など、中西部や南部の州では、一般的な住宅を購入できる年収は、年収7万5,000ドルまで下がる。
これらの州では、住宅価格の上昇率が比較的緩やかであり、所得水準に対する住宅の手頃さが保たれている。ただしCNBCは、これらの州では高給の雇用機会が少なく、貧困率が高い傾向にあり、これらが住宅価格にも反映されていると指摘している。 【次ページ】賃貸価格も大幅に増加、賃金伸び率を上回る
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