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- 2024/03/27 掲載
生成AI普及に有効なのは「ブロックチェーン」? サム・アルトマン氏の狙いとは
今や2大テクノロジー「AIとブロックチェーン」
現在、AIとブロックチェーンはイノベーションに寄与する技術領域で「主役の2大テクノロジー」と言えるほどの影響力を誇ります。特に生成AIは、テクノロジー史上最も速いスピードで普及が進んでおり、投資の金額も桁外れに大きなものとなっています。生成AIの大きな特徴は、コンテンツ生成の限界コストを限りなく小さくしたことにあります。ARK Invest Managementによると、過去2年間の間に、文章の生成コストは生成AIによって劇的に低下したことが示されています。
同様のことは、文章のようなテキストデータだけでなく、画像や音声、動画に至るまであらゆるメディア系データに及んでいます。いずれも、人間が作成あるいは編集したレベルと同等のところまでは来ており、人間をはるかに超えるクオリティを実現する日も近いでしょう。
このように、インターネットにアクセスできる人類が、極めて低コストで高品質なコンテンツを生成できるようになった結果、「フェイク情報の拡散」という社会的に大きな問題が発生し始めています。この2024年は米国の大統領選挙があり、いわゆるディープフェイク(精巧に作られた偽情報)が氾濫しています。米国内のみならず世界が混乱に陥る可能性も否定できません。
「コンテンツの真正性」を担保する仕組み
ブロックチェーンがもつ本質的な特性である「改ざん耐性」と「透明性」により、「フェイク情報とその拡散」を解決できる可能性があります。コンテンツ生成とその配布の履歴をブロックチェーン上に不変のレコードとして保存することで、各コンテンツの真正性を確認するというアプローチです。コンテンツの作者や配布者が明確になり、偽情報やディープフェイクのような不正なコンテンツを識別しやすくなるでしょう。また、消費者はコンテンツの起源を追跡し、信頼できる情報源のものであることを自ら確認できるようになるというわけです。
2024年に入って公開された事例をみてみましょう。Fox Corporationは、パブリックチェーンであるPolygonブロックチェーンを活用し、メディアコンテンツの真贋性とアイデンティティを証明する新しいプロトコル「Verify」を開発しました。
Verifyは、公開されたコンテンツが信頼できるソースのものであることを確認できるよう、コンテンツをブロックチェーン上で暗号学的に署名し登録する機能を提供します。これにより、読者は記事や画像が実際にその出版者から発信されたものであることを確認できるというものです。
出版者は、Verifyのアイデンティティレジストリに自分の公開鍵を登録し、コンテンツにデジタル署名を行います。この署名は、コンテンツが発行者によって作成されたことを証明するためのものです。そして、ERC-6150(階層型NFTの規格)をベースとするコンテンツグラフ(コンテンツ、そのメタデータ、所有権、およびライセンス情報を結びつけるための構造)のスマートコントラクト(契約の自動化)を使用して、コンテンツのライセンスを管理し、その使用条件を明確に提示します。
エンドユーザーは、Verify ToolというWebインターフェースを通じて公開されているコンテンツの真正性を検証することができます。これは、コンテンツのメタデータファイル内の署名を検証する仕組みです。
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