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ヤマハ発動機の「データ活用」が面白い、成功の秘訣が「ノリの良さ」の深いワケ

日本の製造現場において、DX、ましてやデジタル化さえもうまく進められていないケースが散見される。こうした中で数ある成果を出しているのがヤマハ発動機だ。同社はバイクやマリン製品といったリアルの価値を提供しているが、そこにデジタルを融合させてさらなる価値体験の創出につなげている。これを裏で支えているのが、現場サイエンティストという存在だ。そこで今回、「感動創造企業」を目指す同社のDX、特に製造現場でのデータ活用の取り組みについて解説する。

「このままではマズい」から始まったDX

 モーターサイクルやマリン製品などで世界的に知られるヤマハ発動機。同社が掲げる目標が「感動創造企業」になることだ。バイクやスクーター、ボートなどはもちろん、起源を同じくし、現在は別会社ながら同じブランドを共有するヤマハが製造する楽器も含めて、「乗る」「演奏する」といった体験・経験があって初めて「感動」が生まれる。その「体験・経験」を大事にする企業文化を持つのが同社だ。

 ところが、デジタル技術が進化したことで、「社の企業文化を揺るがすような状況が生まれつつあった」と語るのは、同社 IT本部 デジタル戦略部 部長 新庄 正己氏である。

photo
ヤマハ発動機
IT本部 デジタル戦略部 部長
新庄 正己氏

「デジタル技術の進化によって、お客さまの体験がリアルからデジタルへシフトし、さらにリアルとデジタルが融合する世界が見えてくるようになりました。世界的に見ても、そのような体験・経験を提供する企業が伸びている中、我々にはそれができていないのではないか、このままではマズいのではないかと感じたのです。それが2018年のことでした」(新庄氏)

 しかし、逆に言えば、デジタルをうまく活用すれば、ユーザーにさらなる感動体験を提供し、企業としても大きく成長できるはずだ。この考え方が、同社のDXの土台となった。

この記事の続き >>

  • ・ヤマハ発動機が目指す「ありたい工場の姿」
    ・熟練工の勘と経験を「数字」に変える
    ・現場サイエンティストを生み出す「3つの教育ステップ」
    ・DX成功の裏には「ヤマハのコピペ」?

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