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  • 2019/12/03 掲載

Fintech協会代表に聞く、「地方の課題解決」が日本のフィンテックを強くする理由

FinTech Journal創刊記念インタビュー

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フィンテックが普及するにつれ、さまざまな課題も浮き彫りになる。後編ではFintech協会の分科会活動の内容や、レグテックに注力すべき理由、人口減少社会が加速した後のフィンテックの役割について語ってもらった。
聞き手:編集部 山田竜司、構成:吉田育代

聞き手:編集部 山田竜司、構成:吉田育代

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一般社団法人Fintech協会
代表理事会長
丸山 弘毅氏


フィンテック協会の「成果」と注目領域

 協会には、9つの分科会がありますが、最も活動量が多い、銀行・証券・保険問わず共通の課題を扱う「コンプライアンス」を筆頭に成果を出しています。

 たとえば、新規に口座を開設する際、オンライン上で本人確認を完結させるためのテクノロジーである、eKYC(electronic Know Your Customer)です。eKYCの開発は、金融庁がフィンテック企業と対話をするMeetup with FSAを2017年4月に初めて開催した際、「オンライン上での本人確認は非常に重要だ」と訴えたことで検討が始まり、共同勉強会などを経て開発に至りました。

 今はレグテック(RegTech:テクノロジーによる規制関連課題の解決)、つまり金融機関がスピード感を持って複雑な規制や法制度(Regulation)に対応するためのテクノロジーが注目されています。フィンテック文脈でどんなテーマを議論していてもRegTechに行き着くほどです。


 関連企業が法規制に対応しようとする場合、関連する法律が経済産業省の管轄なのか、金融庁も関係するのかはすぐにはわかりません。たとえばキャッシュレスに関しても、経済産業省が推進する一方、軽減税率については金融庁が関係しているなど、複雑なのが現状です。

 また、対応すべき部分が「法令なのか手続きの問題なのか」も分かりづらいことが多いのです。規制や法律が複雑化している現状に対応するのは骨が折れますが、突き詰めていくと、「手続きの煩雑さ」が問題であるケースが大部分です。ですから、これをRegTechで共通化してデジタル完結できるようにすれば、手続きが簡略化されかなり手間が省けるでしょう。

 RegTechによって省庁側も企業側も効率化します。コンプライアンスとRegTechを比較的セットに近い形で議論をしています。

 本人確認などもそうですが、このような「手続きの監督」といった領域は、金融に限った話ではありません。「手続き」が効率化されることで、日本の産業界全体の回転がよくなり新規業者の参入が増え、さらなるスタートアップが生まれと考えています。利用者の貯蓄が投資に回ったり、消費が活性化したりという副次的な効果もありそうです。最終的に経済の発展につながるという意味では、RegTechは非常に重要なテーマだと思っています。

「自己責任」にはならない日本

 では、法制度や規制に関する手続きが簡略化すれば、よりイノベーションが起きやすくなっていくのでしょうか。

 私は、法制度もさることながら、日本が熟考すべきはフィンテック利用の「免責」だと考えています。つまり、国が取るべき立場は利用者の自己責任なのか、消費者保護なのかという問題です。

 ヨーロッパも、米国も法制度のアプローチは違いますが、どちらも究極的には自己責任というのが大前提です。

 ところが日本は現状、「自己責任」だけではすまされない。たとえば「免責事項はお送りした書類に書いてあります」といっても、「いや、こんな小さな文字では読めない」という反論が返ってきます。

 規制当局からは「小さい文字は問題なので何ポイント以上にしてください」といった指導が入ります。「書いてあるのに読まないほうが悪い」という論理にはならないのです。

 消費者保護は最重要項目ですが、自己責任論がベースにならない点に、日本の法制度を難しくしている側面があると思います。

【次ページ】フィンテックは「人口減少社会」と相性がいい
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