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  • 2019/11/26 掲載

Fintech協会 丸山 弘毅 会長に聞く、フィンテックが是正した「金融のあるべき姿」とは

FinTech Journal創刊記念インタビュー

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日本のフィンテック黎明期に立ち上がり、スタートアップと金融機関がともに知恵を出し合いながら、テクノロジーで金融業界を変えるというムーブメントに貢献したのが一般社団法人Fintech協会だ。今、フィンテックを取り巻く日本の環境はどのように変化したのか。日本のフィンテックは、世界的に見てどのような“立ち位置”にいるのか。同協会が4周年を迎えた今、立ち上げから代表理事会長を務め続ける丸山 弘毅氏に話を聞いた。
聞き手:編集部 山田竜司、構成:吉田育代

聞き手:編集部 山田竜司、構成:吉田育代

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一般社団法人Fintech協会
代表理事会長
丸山 弘毅氏

金融業界以外からフィンテックサービスが生まれる背景は

 最初に協会設立の背景からお話ししましょう。設立は2015年9月です。当時の世の中は「フィンテックって何?」という感じで、バズワードのような取り上げられ方をされました。

 当時は決済関連を先駆けに、いくつもベンチャーが立ち上がり、送金系やロボットアドバイザー(以下、ロボアド)、レンディング(融資)とさまざまな分野に広がっていったのです。

 現在フィンテックは、金融業界全体に受け入れられて一般的なものになりました。利用者や事業者が「こんなことはできないか」「このようにすると効率がいいのでは」と、テクノロジーをベースに自らがほしいモノを作って業界を変えるムーブメントとなったのです。

 あらためて、フィンテックとは金融以外の業界の人たちが考案する金融サービスを指すものだと考えています。金融業界の人が考案するサービスと比較すると、「サービスが利用者の動線に沿っている」点がポイントです。

 そもそも金融行動は、最終的な「目的」ではありません。何かサービスを受けた際に決済したり、誰かに何かをしてもらう代わりに送金したりするものです。投資についても、老後のために資産を貯めたい、家を買いたい、留学したいなど、何かの目的のためにお金を増やしたいのです。「増やすこと」自体が目的ではなく「手段」です。

 投資や融資、送金、保険とあらゆる領域で、日常生活に入り込んだサービスを提供している企業が、顧客の目的を果たすためにフィンテックを導入するのはごく自然なことです。今までそれが金融ありきだったということは、目的と方法が逆転していたとも言えます。そういう意味では、日常行動のサービスに金融サービスが付随するのは、本来あるべき姿に戻ってきていると思います。

フィンテック普及を後押しする「認証」「法規制」

 フィンテックが2015年から4年間で急激に拡大したのは大きく2つのポイントがあるのではないでしょうか。 1つは技術の進化でしょう。たとえば、利用ユーザーを特定する認証機能です。普及機のスマートフォンにも顔認証や指紋認証などID機能が備わりました。


 認証機能とサービスの連携が進んでいることもフィンテックの広がりを後押ししています。 これまで、ID認証と金融サービスは「1対1」の関係でした。今では1つのサービスで認証されれば、APIを通じて銀行や証券、保険といったサービスにログインでき「ワンストップサービス」が提供できるようになりました。

 従来の金融サービスを構築していた、専用システム、スタンドアローン、基幹システムではなく、インターネットやAPI、クラウドを通じて、システム間連携もしやすくなった点がフィンテックサービスの普及を後押ししたと思います。

 フィンテックの急拡大を後押ししたもう1つの理由は法改正です。2018年6月1日から施行されている「改正銀行法施行」では、努力義務ながら銀行のAPI開放が促されたのもターニングポイントとなりました。

 銀行業界がAPIでフィンテック企業と連携を始めたことは、フィンテック普及の大きな突破口だったのです。 改正銀行法施行は、オープンイノベーションの大きなトリガーになったと感じています。

【次ページ】グローバル訴求に注力する理由
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