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  • 2019/09/24 掲載

マネーフォワード 瀧 俊雄氏:イオンやセブン、スタバが「金融機能」を取り込むワケ

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老後2000万円問題、銀行の不正融資、かんぽ生命の不正……等々、最近は金融にかかわるネガティブな話題も少なくない。こうした動きと金融のデジタル化は、決して無関係ではないだろう。マネーフォワード Fintech研究所長の瀧 俊雄 氏に、年金問題から金融機能を取り込もうとする企業の動き、信金、地銀、メガバンク、ゆうちょ銀行の未来まで、政府の取り組みも含めて幅広く話を聞いた。
聞き手:編集部 松尾慎司、構成:井上健語

聞き手:編集部 松尾慎司、構成:井上健語

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マネーフォワード 取締役/マネーフォワードFintech研究所長 瀧 俊雄 氏


老後2000万円問題の解決方法は?

 老後に2000万円が必要だというニュースをきっかけに、年金制度に注目が集まっています。年金制度は、長生きする人たちの老後を保証する制度です。

 2000万円問題の解決方法はシンプルです。まず、ほとんどの人は「ねんきんネット」にログインしたことがないでしょう。「ねんきん定期便」もきちんと読んでいないと思います。そして、年金制度そのものを信用していません。この3つが解消されたら問題は解決します。

 そもそも、年金がゼロになることはありません。年金制度が破綻して、もらえる年金がゼロになると考える人もいるようですが、年金制度は、最終的には現役の人口や平均余命の伸びに合わせて、給付を調整する「マクロ経済スライド」というシステムがあります。そこまで至るかは分からないですが、システムとしては維持できるものなのです。

 ところが、現実を見ると年金はすぐに政治的な論争の元にされてしまいます。現実には、一つ確認をするだけでも払しょくできる不安が多いのに、それを不安として残すような議論が行われてしまっている。

 また、受給年齢は現在65歳からとなっていますが、70歳まで支給を繰り延べれば支給額は相当に増えます。働いた方が健康にも良いはずです。こうした仕組みがしっかりと理解されていないことも問題なのです。


事業会社が金融機能を取り込む理由

 最近は、事業会社が金融機能を取り込む動きも見られます。たとえば、小売系であればセブン銀行やローソン銀行、イオン銀行などがありますし、スターバックスのように独自のプリペイドカードを作っている会社もあります。ただし、子細に見れば、企業における金融機能へのニーズはバラバラです。

 まず、セブン銀行やローソン銀行については、ATMによる収益が主となっています。たとえば、セブン銀行の売り上げは約1400億円ですが、その収益の大半はATMの提携金融機関から支払われる手数料です。このようなモデルができていれば、コンビニが銀行機能を持つのは、その戦略から考えて自然だといえます。

 また、海外ではイオン銀行のようにスーパーが銀行をやるケースは珍しくありません。これは、顧客がショッピングモールなどの大きい店舗にきたとき、その体験の中に銀行機能をクロスセルとして用意する動きだと理解できます。

 一方、スターバックスのように接客体験を重視する企業は、本来、その体験の中に支払いを入れたくありません。決済は、裏側で自動的に行われるのが最も良いのです。したがって、決済機能を見せない、透明にするという方向で金融機能を取り込むことになるのです。

 このように、事業会社が金融機能を取り込もうとするニーズは、企業によってかなり異なっているのはないかと思います。

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