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  • 2019/09/02 掲載

インド・東南アジア現地で見たフィンテックの最新動向、時にアナログな仕組みも必要だ

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フィンテックブームは何も日本だけのものではない。インドや東南アジアなど、主にアジア地域で注目されるフィンテック企業は、Unbanked(銀行口座を持てない人)と呼ばれる層への金融サービスや、“溶ける金融”などといった表現がなされるシームレスなサービスなどで、日本とは違ったユーザーペインに対して向き合っている。ここでは著者がアジア各地を訪れて見てきたスタートアップの取り組みを紹介したい。

インドで注目を集めるフィンテック

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至るところに大きなPaytmの看板がある
(写真:筆者撮影)
 インドの技術先進都市バンガロールの空港に降り立つと、至るところで目に入ってくるのが現地インドのスマホ決済事業者「Paytm」の看板だ。同社は日本でもQRコード決済ブームの火付け役となったPayPayに技術提供を行った企業としても知られている。空港内の飲食店などでは、この「Paytm」をはじめとして、クレジットカードや非接触型決済もほとんどのお店で使える。

 ただ、その状況は都市の中心部のみの話。数値として公表されている現金決済比率は70%を占め、まだまだキャッシュレス化は進んでいないことが分かる。筆者が実際にインドの地方に行くと、その数値も実感できる。

 インドにおけるフィンテック領域での投資額は、2017年の数値で米国、英国、中国に続いて世界第4位。インドのGDP自体は中国の約2割に過ぎないことと比較すると、フィンテックがインドで非常に大きなインパクトを与えていることが良く分かる。

 人口13億人の巨大なマーケット、そしてその年齢層は27~28歳が中央値となっており非常に若い。モバイルを抵抗感なく使えるその層の今後の活躍を考えると、このマーケットには非常に大きな期待が持てる。

 そんなインドの金融市場だが、政府主導で進められている施策も多い。有名なところでは、高額紙幣廃止施策や、国民ID制度などがあげられる。まだ実際の決済のシーンをみることは少ないが、政府主導で実施している国民ID制度「Aadhaar(アドハー)」は12桁の国民IDを全国民に付与するというもので、すべての指紋、虹彩といった生体情報を紐づけることで、指紋による生体認証決済も実現している。

配車アプリの混雑を解決する「アナログな仕組み」

 海外で配車アプリを使ったことがある人ならば感じたことがあるかもしれないが、駅や空港など、飛行機や電車の到着時間に合わせて人が混雑する場所で車を呼ぼうとすると、待ち合わせ場所の混雑と相まってなかなか自分が呼んだドライバーに会うことができない。

 その課題を解決するために、バンガロールでは、試験的にPin-Noを照合することによってマッチングを行っている。バンガロールの空港では配車アプリで呼んだ車のPickup pointがあるが、そこで配車アプリを使用するとユーザー側の画面に4桁のPin-Noが表示される。

 その上で乗車待ちの列に並び、自分の乗車の順番が来たら、ドライバーにPin-Noを見せ、そのドライバーがアプリ上でPin-Noを入力するとマッチングが成立するという仕組みだ。

 人の手作業も介するアナログな仕組みではあるが、これが非常に効果的だった。出張のたびに、さまざまな空港で配車サービスやGrabのサービスを使うが、混雑時には、渋滞も相まって、ドライバーに出会えずストレスを感じていたが、この仕組みだと、混乱なく乗車することができる。

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インドでは配車アプリでTUKTUKを呼ぶことができる
(写真:筆者撮影)

 その乗車の際にも当然決済は発生するが、インドの配車アプリは、クレジットカードの使用はもちろんだが、決済の選択肢の中には「Paytm」も選択できる。

 柔軟なAPI連携によって、アプリを使っている側は「決済」を意識をすることなく済ませることができ、非常に便利である。

 このような「決済」ボタンや「Submit」ボタンを押さない決済は、これからもどんどん広がっていくことが予想される。

 古くは高速道路のETCシステムもそうだが、「ゲートを通過する」「車から降りる」などのアクションをトリガーに決済処理が行われることをイメージしてもらえればわかりやすいだろう。

【次ページ】東南アジアで期待されているのは「融資」領域
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