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もともと「不況に強い」と言われる金券ショップビジネスだが、コロナ禍とともに急加速したデジタル化の波は、業界のあり方を大きく変容しようとしている。そこでいち早く現金商売への依存から脱却を図り、FinTechによる「金券ショップDX」に着手したのが甲南チケットだ。とはいえ、開発リソースも金融業界のノウハウも十分でなかった同社は、いかにして新たな決済アプリサービスを実現できたのだろうか?

デジタル化の加速で取り扱い商材がなくなる危機

 甲南チケットは京阪神地区を中心に全国で27の実店舗を構え、チケットや金券、商品券の買い取り・販売ビジネスを展開している。乗り物のチケットやクレジットカード会社が発行するギフトカード、百貨店の商品券、株主優待券などの物理的な金券類を主要商材として取り扱い、年間利用者数は約180万人(2021年)に上る。

 しかし、チケットや商品券の電子化が加速する現在は、金券ショップ業界自体がビジネスモデルの過渡期を迎えているという。甲南チケット 代表取締役の藤巻 好仁氏は、業界が置かれている現状について次のように語る。

「まずネット予約サービスの普及によって、我々のビジネスにおいて収益の柱だった新幹線の回数券が廃止になりました。その他の金券類や株主優待券などもどんどん電子化しており、金券ショップで取り扱いできる商材が年々減ってきています。今後もこの流れは変わらないでしょう」(藤巻氏)

 金券ショップはこうした現状を打破するための新たな打ち手が求められており、金券類の販売と並行してブランド品やお酒などの物品買い取りを始める事業者が増えつつあるという。その中で、甲南チケットが今後の事業成長のために選択した手段が、FinTechの活用だ。

 以前からWebを通じた買い取りや販売も行っていたが、基本的に実店舗での現金商売がメインである。そんな金券ショップの大手である同社が、オンライン決済・キャッシュレス化に舵を切り、ノウハウがない中で“金券ショップDX”を実現させた裏側には、多くの工夫と大胆な戦略があったという。

この記事の続き >>
・金券ショップの弱点は「都市型のワンショットビジネス」であること
・「ノウハウがない」…サービス実現に立ちはだかった4つのハードル
・クレカブランド、PCI DSS、監査会社、財務局等の申請がスムーズだったワケ

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