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- 2024/09/03 掲載
無人運転の事故は誰の責任? いよいよ見えてきた日本の「新ルール」とは
すでに起きている「自動運転車の事故」
人手不足などの課題解決の手段として注目を集めている自動運転車が普及すれば、事故の抑止につながるのではないかという期待論がある。たしかに自動運転技術の導入によって、わき見運転など、運転するヒトの危険な行動に起因する事故は抑止できるだろう。とはいえ現実的に考えて、自動運転技術で交通事故がゼロになるわけではない。
すでに実証実験が進む中で、痛ましい死傷事故が起きている。2018年に米アリゾナ州で、運転手着席のもと、時速64キロで走る高度ドライバー支援システムの実験を行っているさなか、自転車を引いて道路を横断していた女性をはね、死亡させる事故が起きた。また2023年には、無人自動運転タクシーの横を並走していた車と歩行者が衝突し、自動運転タクシーの進路に投げ出された歩行者が下敷きとなり、そのまま6メートルほど走行。歩行者が重傷を負った。
事故は日本国内でも起きている。滋賀県大津市では2023年1月、保安ドライバーのいる自動運転バスの実証実験で、バスが加速したはずみで乗客が転倒し、軽いけがを負った。同年10月には福井県永平寺町で運行中の自動運転車両が、路上駐輪されていた無人の自転車と接触した。
自動運転の責任の所在は?見えてきた「方向性」とは
従来の交通事故であれば、運転者らが過失運転致死傷罪などの刑事責任を問われる可能性があるほか、免許取り消しなどの行政処分や、被害者らによる民事訴訟が行われるケースもある。しかし自動運転車のように、「運転者」とみなせる人間が存在しない場合には、その法的責任の形が大きく変わりそうだ。
自動運転で事故が発生した場合、責任のありかをどのように調べ、誰が誰を罰するのか。現時点で今後の法整備の詳細な具体論は見通しきれないところがあるものの、デジタル庁が設置した専門家会合(「AI時代における自動運転車の社会的ルールの在り方検討サブワーキンググループ」)の議論から、一定の方向性が見えてきた。 【次ページ】見えてきた「方向性」とは
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