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100円均一ショップを手がけるダイソーは現在、26の国と地域に約1,500店舗を展開している(2016年3月時点)。筆者の住むオーストラリアでは、2010年に第一号店がメルボルン郊外に出店して以降、この6年でオーストラリア7州中3州の28店舗にまで拡大した。さらに2020年までには店舗数を倍増するという。オーストラリアでは2.8豪ドル(日本円で約220円)と日本より高いにもかかわらず、なぜダイソーはオーストラリアで成功したのか。現地からその理由を探る。
ダイソー・オーストラリアの店舗の内装は日本とそっくり
オーストラリアのメルボルンにあるダイソーの店舗に入ると、そこには日本のダイソーとほぼ同じ光景が広がる。商品の陳列から床面の光り方まで似ているという具合だ。
ダイソー・オーストラリアの本社に問い合わせてみたところ、「日本のダイソーの内装にできるだけ近づけて作っている」とのこと。「強いて言えば、日本よりも棚と棚の列の間を広く作っているのが違い。これはオーストラリアの生活環境に合わせているから」という。
来店する人種もさまざまだ。オーストラリア統計局が2015年1月に発表した移民に関する統計データによると、オーストラリアの人口の約28%が移民してきた人だ。ヨーロッパ系の白人も多いが、中国、インド、ベトナムからの移民も非常に多い。店内においてもその多民族国家を象徴するように、多様な人たちが買い物をしている。商品点数が多いことから、さまざまなニーズに一度に応えることができるのだろう。
実際、ダイソー・オーストラリアは、この6年で28店舗を展開するなど、急激に店舗数を伸ばしている。オーストラリアでは2.8豪ドル(日本円に換算すると約217円、以下特に注釈ない場合は豪ドル)にもかかわらず、そのブランドはオーストラリア人の間でも広く浸透してきた。ちなみに米国は1.5米ドルで、オーストラリアは米国よりも高い価格設定となっている。
オーストラリア人の心をつかむダイソーの3つの特徴とは
日本より高くても、なぜこれほどまでにダイソーはオージー(オーストラリア人のこと)に受け入れられたのか。その理由は大きく分けて3つある。1つめはやはり価格だ。物価の高いオーストラリアで、ダイソーの中なら何でも2.8ドルで手に入れることができる。化粧品、文房具、食品など24種類もの商品がすべて同じ値段だ。
店舗で取材をすると、オージーは1度の購入で、約4商品、およそ11.2ドル(日本円で約855円)を1回の買い物でしていくという。
ちなみに筆者が先日友人と食したランチは、パンケーキとコーヒー、オレンジジュースで26豪ドル(日本円で約2,000円)だった。ランチの約半額で4点も購入できてしまうダイソーがいかにお得感を与えているか、感じ取れるだろう。
なお、2ドルショップを展開するのはダイソーだけではない。ローカル発のDollar KingとReject shopという2ドルショップも多数のショッピングセンターに入っている。これ以外に中国系の個人経営の2ドルショップも多々ある。
しかし、これらの店舗は2ドルショップという割には2ドル以上の価格のものが大半で、消費者を店舗に引き寄せるための名目上の「2ドル」ショップだったりするのが現実だ。
そんな中、ダイソーに行けば価格はほぼ2ドルで、質はずっといい。だから、多くのオージーが信頼を寄せ、リピートしたくなるのだろう。
ダイソー・オーストラリアで売上ダントツ1位はあの商品
次に魅力としてあげられるのは、オージーが目にしたことのないようなアイデア商品や季節商品など、豊富な品ぞろえにある。ダイソーにはオージーを飽きさせない工夫が随所にあるのだ。
毎月、新しい商品を入荷しているため、目が離せない商品構成も魅力にうつる。物価の高いオーストラリアでは信じられない価格であらゆるものが手に入る。デザインがかわいい商品が多いことも人気の秘訣だ。
ダイソーのビジネスが、商品開発・輸出入・物流・店舗運営のすべてを自社で手がけるSPA業態であることがこれを支えているのだろう。
では、どのような商品が売れているのか。実際に店員に聞いたダイソー・オーストラリアでのヒット商品Best5をみてみよう。
【次ページ】ダイソーはどうやって無名の状態からブランドを確立したのか
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