- 会員限定
- 2014/02/20 掲載
アマゾンのジェフ・ベゾスが、小売のコストコから「厚かましく盗んだもの」
連載:トヨタに学ぶビジネス「改善」の極意
-
|タグをもっとみる
いいアイデアがあれば厚かましく盗むもの
しかし、この言葉には異論を唱えたくなる人も少なくないはずだ。たとえば出版社や書店などから見れば、アマゾンは自分たちがこれまで営々と築き上げてきた事業から顧客と利益を根こそぎ奪っていく征服者以外の何物でもない。「アマゾンされる」(To be Amazoned)という言葉があるくらいだから、アマゾンが自らを「征服者ではなく探検者」と呼ぶのには抵抗を感じるのも無理からぬことだ。
もっとも、ここで言う「探検者」は他社の成功したアイデアに目をこらし、貪欲に取り入れていくという意味でベゾスは使っている。2001年、ベゾスはアマゾンがITバブルの崩壊による株価の低迷に苦しむ中、1人の人物に会っている。コストコの創業者ジム・シネガルだ。
シアトルのスターバックスで二人は会い、シネガルはベゾスにコストコが年会費を支払ってくれる忠誠心あふれる顧客を軸に運営されていること、安い値付けで大量に売りさばくことでサプライヤーから有利な条件を引き出していること、長期的な視点で会社を育てていることなどを説明した。
この会合の翌々日、ベゾスはアマゾンもコストコやウォルマートのような「エブリデーロープライス」にすべきだとして、書籍やCD、DVDの価格を20%から30%下げている。年会費を払えば、送料や出荷で優遇される「アマゾンプライム」も、その後に実現している。
シネガルにとっては、のちのライバルに知恵を授けてしまったことになるが、シネガルはこう話しているという。
「いいアイデアがあれば厚かましく盗むものだと思ってきましたからね」
後年、シネガルがキンドルを購入したところ不良品だったためアマゾンに連絡したところ、ベゾスから「今後はあなた専用のカスタマーサービスとして私が処理します」というメールが届いたという。ベゾスの優れたアイデアを貰ったことへの感謝の印だったのではと、このエピソードを紹介した記者のブラッド・ストーンは『ジェフ・ベゾス果てなき野望』で書いている。
ベゾスはアマゾンのアイデアのすべてをゼロから構築したわけではない。他社の成功したアイデアを貪欲に探し、評価し、そして自分たち独自のひねりを加えることでより良いアイデアに昇華させている。
【次ページ】トヨタの「創意くふう運動」は何が違ったか
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
投稿したコメントを
削除しますか?
あなたの投稿コメント編集
通報
報告が完了しました
必要な会員情報が不足しています。
必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。
-
記事閲覧数の制限なし
-
[お気に入り]ボタンでの記事取り置き
-
タグフォロー
-
おすすめコンテンツの表示
詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!
「」さんのブロックを解除しますか?
ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。
ブロック
さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。
さんをブロックしますか?
ブロック
ブロックが完了しました
ブロック解除
ブロック解除が完了しました