• 会員限定
  • 2023/08/08 掲載

苦戦する「無印良品」と何が違う? ダイソー・3COINSが生活雑貨で絶好調の理由

【連載】流通戦国時代を読み解く

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
生活雑貨業界は戦国時代に突入している。ここ数年、業界トップを走る無印良品(良品計画)を脅かす存在として、インテリア雑貨のニトリ、低価格帯のダイソー、セリア、3COINSが同じ生活雑貨の市場で台頭してきている。特に、無印良品にとって脅威になりそうなのが、ダイソーを運営する大創産業、3COINSを運営するパルだ。勝敗は何で決まるのか。今、生活雑貨業界で起きつつある変化を解説する。

執筆:nakaja lab 代表取締役 流通アナリスト/中小企業診断士 中井彰人

執筆:nakaja lab 代表取締役 流通アナリスト/中小企業診断士 中井彰人

みずほ銀行の中小企業融資担当を経て、同行産業調査部にてアナリストとして産業動向分析に長年従事。分野は食品、流通業界。主な著作物に「図解即戦力 小売業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」(技術評論社)、「50年に一度の大転換期を迎えるスーパーマーケット業界」、「業態盛衰の歴史が示唆するこれからの小売の方向性」(中小企業診断士)などがある。

photo
生活雑貨業界の最大手・無印良品にとって大きな脅威になりそうな企業がある…
(Photo:LegoCamera/Shutterstock.com)

急拡大「Standard Products」とは何者か?

 「Standard Products」という生活雑貨の店が今、全国各地のショッピングモールで出店を加速している。

 Standard Productsのコンセプトは、「普段の生活で使う、日用品をちょっと楽しく」、「ちょっといいのがずっといい」というもの。シンプルなデザインの雑貨類を取りそろえるおしゃれな雰囲気の雑貨店だが、値段を見ると300~1,000円 という非常にお手頃な価格設定に驚かされる。

 今年の5月には4店舗、6月に8店舗、7月に8店舗と、かなりの勢いで全国の大型ショッピングモールに新店舗をオープンしており、実際目にした方も増えているのではないだろうか。そんなStandard Productsを運営しているのが、100円ショップ最大手のダイソーを運営する大創産業である。

 大型ショッピングモールのオープン、リニューアルのタイミングを出店機会として、急速に浸透していきそうな勢いだが、なぜStandard Productsは消費者に受け入れられ、これほど拡大しているのだろうか。同社の生活雑貨業界におけるポジショニングからその理由が見えてくるかもしれない。

生活雑貨の「未開拓市場」とは? 業界マップを解説

 生活雑貨業界では良品計画(MUJI)という売上高約5,000億円の有力企業が、「良いものをそれなりの価格」で提供する存在として、その中心的地位を確立している。そして、機能的には十分に使えるものを100円で提供する100円ショップ業界が最も安い価格帯に位置しており、大手4社合計で約9,500億円(2022年度)ほどの市場を構成している。

 しかし、「100円ショップ以上、無印未満(≒そこそこの品質で、単価300円~1,000円以下)」というポジションには、確たるプレイヤーが存在していなかった。その空いた領域の「試掘」に最初に成功したのは、アパレルのパルグループHD子会社のパルが運営する「3COINS」であった

画像
カジュアル生活雑貨の各企業のポジション(イメージ)
(出典:筆者作成)

 3COINSは、コロナ期の巣ごもり需要をチャンスとして、300円という価格にとらわれない、おしゃれ、かつ機能的な商品を続々投入して、一気に女性消費者のこころを掴んだ。2019年度には258億円低度だった売上は、2022年度には490億円とほぼ倍増し、その存在は世に侵透した。

画像
売上を伸ばし続ける3COINS
(出典:パルグループホールディングスIR資料より筆者作成)

 この頃には、家具インテリア雑貨のニトリも、都市型生活雑貨店「DECOHOME」を都市部の商業施設内への展開を進めており、“無印の廉価版”とも言える価格帯を展開していた。追いかけるようにダイソーが投入したStandard Productsも急速に拡大し、「100円ショップ以上、無印未満」の市場は新規参入組による争奪戦になった。

 そして、品質と価格ですぐ上にいるメインプレイヤーMUJIのマーケットを奪い、その業績に影響を与えるようになっていったのだ。

 一方、無印良品もこの市場の売上が吸われていくのを黙ってみているわけではない。出店を拡大するなど攻勢をかけているが、どうしてもダイソーをはじめとした新規参入組には勝てない事情がありそうだ。 【次ページ】無印良品がダイソーには勝てない理由

関連タグ

関連コンテンツ

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます